白芙蓉(びゃくふよう) 桃園の巻

内容

約五十名ほどの黄巾賊小隊が馬元義(ばげんぎ)の姿を見つけ、寺へ向かってくる。

黄巾賊小隊にいた李朱氾(りしゅはん)は洛陽船(らくようぶね)から茶を買った劉備を見つける。
劉備は茶の代わりに下げていた剣を差し出すと、黄巾賊馬元義(ばげんぎ)が取り上げた。
李朱氾(りしゅはん)は「俺にはなぜ茶壷を渡さないのか」と責め立てる。
劉備はやむなく錫(すず)の小壺を李朱氾(りしゅはん)に渡した。

ひとりの物見が言う。
十里ほどの先の河べりに、約五百の県の吏軍が野陣を張っていると。
黄巾賊小隊は寺で一夜を過ごすことにする。

劉備は門の外に踏み出るが、黄巾賊の見張りの兵に捕らえられ、斎堂の丸柱にくくりつけられる。

夜が更けると、ただ一つの高い窓から短剣が先に結ばれている縄が下がってきた。
劉備は外に出ると、老僧がそこにいた。
老僧は劉備を抱えて、寺の裏にある林の奥に見える塔に向かう。

老僧は塔の中に入ると、白馬と美しい女性を連れて出てきた。
この女性は、県の城長の娘で名を芙蓉(ふよう)、姓は鴻(こう)だといい、河べりに陣している県軍の隊まで届けてほしいという。
老僧は塔の上へあがり、劉備が進む方向を指さす。
劉備と芙蓉(ふよう)を乗せた白馬が駆けだしていくのをみた老僧は歓喜の声をあげた。
そしてみずから舌を噛み、塔の上から身を投げた。

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