胡弓夫人(こきゅうふじん) 草莽の巻

内容

関羽と張飛の二人はしんがりとして、呂布(りょふ)軍に大打撃を与えたのち、先に逃げている劉備を追った。建安元年の冬のことである。

劉備らは許昌(きょしょう)の都へたどり着き、曹操は賓客として迎える。

曹操は帝の許しを得て、劉備に予州(よしゅう)の牧(ぼく)の任命を伝える。

劉備が予州(よしゅう)へ出発するとき、曹操は兵三千とたくさんの糧米を贈る。

曹操のもとに知らせが入る。董卓(とうたく)の配下張済(ちょうさい)の甥である張繍(ちょうしゅう)が宛城(えんじょう)を本拠地とし、許都(きょと)を攻める計画を立てているというのだ。

曹操は、呂布(りょふ)の官位を昇らせ、恩賞を贈り、劉備と和睦せよとの使者を向かわせ、呂布(りょふ)は従う。

曹操は大軍を率いて宛城(えんじょう)へ向かい、淯水(いくすい)のあたり一帯に十五万の兵を置く。建安二年五月のことである。

張繍(ちょうしゅう)配下の賈詡(かく)は、張繍(ちょうしゅう)に降伏をすすめ、みずから曹操の陣へ向かい、交渉する。

曹操は宛城(えんじょう)に入って、ある夜のこと。胡弓(こきゅう)の音が聞こえたため、甥の曹安民(そうあんみん)に尋ねると、絶世の美人が弾いており、亡くなった張済(ちょうさい)の妻だという。曹操は連れて来いと命じる。

曹操は周りの者を下がらせる。連れてこられた美人は鄒氏(すうし)と名乗る。

曹操は鄒氏(すうし)にささやく。張繍(ちょうしゅう)一族を亡ぼすも生かすも曹操しだいだと。

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