内容
劉備はひとり、広い野をさまよっていた。このとき、四十七歳になっていた。
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彼方から牛の背にまたがった一人の子供が近づいてきた。
「劉備様とちがいますか」すれ違いざまに子供は言った。耳がとても大きいので、そう思ったというのだ。
子供は司馬徽(しばき)という者に仕えており、司馬徽は客と世間のことや英雄を論じていて、劉備の名もよく出るという。
劉備は司馬徽に会いたくなり、子供に案内を頼んだ。
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司馬徽は劉備を草堂のなかに迎え入れた。
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劉備の話しを聞いていた司馬徽は「運命のせいにしてはいけない。近くに良い人がいないためだ」と劉備に言って続けた。
「臥龍(がりょう)か鳳雛(ほうすう)か。そのうちの一人を得れば、天下は手の中にあろう」
劉備は、臥龍と鳳雛についてくわしく聞きたかった。しかし司馬徽は「好々(よしよし)」と笑うだけだった。
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夜となり、劉備は司馬徽の宅に泊まることとなった。
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朝になり、劉備は司馬徽の前にひざまずき、臥龍と鳳雛について再び問うたが、司馬徽は「好好」と言うだけだった。
「数百人の兵をつれた大将が家の外を取り囲んでいます」子供は大声で言った。
劉備は外へ出てみると、趙雲がそこにいた。
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