出廬(しゅつろ) 赤壁の巻

内容

劉備と諸葛亮は意気投合した。

「天下は曹操と孫権に二分されていますが、荊州(けいしゅう)と益州(えきしゅう)だけはいずれにも属しておりません」諸葛亮は続けた。
「荊州と益州を奪い、両州を治めれば、曹操と戦うことができ、呉とは外交することができます。漢室復興も可能となります」諸葛亮は天下三分の計を語った。
「どうかわが陣営にこられて、この愚夫にご指導をお願いいたします」劉備は言ったが、諸葛亮は断った。
「先生が起たれなければ、漢の天下は絶え果ててしまいます」劉備は涙を流した。
諸葛亮は深く考え込んでいた。
「主君のために力を尽くします」諸葛亮は言った。

その夜、劉備は諸葛亮の草庵に一泊し、次の日、馬を並べて草庵を出発した。

劉備らを迎えの車が村まで迎えに来ていた。

このとき諸葛亮は二十七歳、劉備は四十七歳。
新野(しんや)に帰ってからのふたりは、寝るも食事も共にし、天下を論じた。
諸葛亮は保険の証人となり、南陽の富豪から千万貫を借り受け、劉備の軍資金にまわした。

「天下三分の計」は劉備と諸葛亮のふたりだけの秘とした。

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