第七巻 望蜀の巻 第一七七回 文武競春
あらすじ
建安十五年春、鄴城の銅雀台が完成。諸州の大将、文武百官が祝賀の大宴に招かれる。
曹操は武臣たちに弓の腕前を競わせる。褒美は曹操が斬る紅の袍だ。
曹休、文聘、曹洪、夏侯淵、徐晃の順で、的を射る。
徐晃は褒美の袍を奪い取る。
「謹んで拝謝し奉る」
群将の中から許褚が駆け出し、徐晃を馬の上から引きずり下ろす。
「まだ丞相のお許しはでていない」
ふたりは取っ組み合いとなり、袍はズタズタに引き裂かれる。
曹操は台上から苦笑。的を射た諸将全員を招き呼び、大機嫌でひとりひとりへ美しい錦を与える。
つぎは文官の番だ。王朗、鍾繇が詩を詠む。王朗には杯が、鍾繇には硯が与えられる。
曹操自身も即興の詩句を書きかけたとき、一騎の早打ちが飛んできた。
「呉から華欽という使者が劉備を荊州の太守に推薦し、天子にお許しを仰いでいます。また、孫権の妹を劉備に嫁がせ、婚姻の引き出物として荊州九郡の大半が劉備に属しました」
曹操のそばにいた程昱が計を進言する。
「華欽には官職を与えて朝廷にとどめ、別に勅使を下して、周瑜を南郡の太守、程普を江夏の太守にします。必ずふたりは拝受するでしょう」
その日の夕、曹操は許昌の都へ帰り、程昱の計を進める。