内容
老将黄忠(こうちゅう)は、夏侯淵(かこうえん)の首を持ち帰り、葭萌関(かぼうかん)にいる劉備(りゅうび)に見せる。
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劉備は喜び、黄忠を征西(せいせい)大将軍に任じ、その夜、大酒宴を開く。
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そこへ、前線を守る大将張著(ちょうちょ)から「曹操(そうそう)が米倉山(べいそうざん)の兵糧を北山のほうへ移している」との知らせが入る。
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諸葛亮(しょかつりょう)は劉備に「魏(ぎ)軍の兵糧を奪うことに成功したら、次の戦は有利に戦えます」と言った。
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そばで聞いていた黄忠は「わしに命じられい」と名乗り出るが、諸葛亮は顔を横に振る。
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「命を与えよ」黄忠は諸葛亮に言い続けたので、副将に趙雲(ちょううん)をつれていくことを条件に、命を与える。
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黄忠と趙雲は漢水まで来た。
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先陣後陣をくじで決め、先陣となった黄忠は「午(うま)の刻までに戻らなければ、援軍をだしてくれ」と言い残すと、五百の部下を連れて進んで行った。
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未明に漢水(かんすい)を渡り、夜明け頃には、魏軍の兵糧がある北山のふもとまで黄忠は迫る。
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朝霧のなか、黄忠は号令を下し、まだ眠っていた魏兵を襲う。
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その朝、漢水の東に陣していた張郃(ちょうこう)は、北山の煙を見て、すぐに北山に駈けつける。
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北山の黒煙は、曹操の本陣からもよく見え、曹操は徐晃(じょこう)を救援に送る。
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時は巳(み)の刻は過ぎているが、午(うま)の刻にはすこし間がある。しかし、あの黒煙が見てから時も経つため、趙雲は部下の張翼(ちょうよく)へ「敵が迫るまで、みだりに動くな」と言い残し、三千の兵を率いて北山の黒煙へ向かう。
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途中、魏軍慕容烈(ぼようれつ)が道をふさぎ、北山の麓では魏軍大将焦炳(しょうへい)が構えていたが、趙雲はともに槍で突き倒す。
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五百の兵が三分の一になり、追い込まれていた黄忠の部隊は、趙雲が救いにきたと知ると、歓呼をあげて集まってきた。
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蜀軍張著(ちょうちょ)が見えないと聞いた趙雲は、魏軍に囲まれていた張著を救い出し、蜀軍の陣に戻る。
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趙雲が祝杯の用意を命じていたところへ、後詰(ごづめ)の張翼が慌てて入ってきて「諸門を閉めて、吊橋(つりばし)をあげろ。漢水を越えて曹操が来た」と告げる。
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それを聞いた趙雲は張翼の臆病さを叱る。
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趙雲は策を指示したあと、ただ一騎、槍を横たえて壕橋(ほりばし)に立つ。
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城の間近まで魏軍は迫るが、そこでぴたりと止まった。趙雲が濠橋の上に立っているため、近づけないでいるのだ。
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中軍にいた曹操は陣前へ出て、進めと命じる。
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徐晃(じょこう)と張郃(ちょうこう)の兵が前進する。
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趙雲は下へ向って合図をすると、濠の蔭から無数の矢が放たれた。
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魏軍の人馬はバタバタと倒れ、曹操は逃げ出す。
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蜀の別働部隊は米倉山の横道を迂回しており、また一手は北山のふもとへ出ていた。
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趙雲を先頭にして、城内から全軍が追撃したため、魏軍は逃げる。
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途中、漢水がさえぎり、魏兵は溺れる者、討たれる者、多数となる。
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