銀河の祷り(ぎんがのいのり) 三国志 五丈原の巻

あらすじ

ある日、司馬懿は人を放ち、蜀の陣営を偵察させる。

偵察から戻ってきた将は言う。
・蜀の陣営に油断の気はなく、陣営の規律は守られている。
・諸葛亮は深夜なのに陣中を見まわりしている。
・諸葛亮は病気であるといわれていたが、それは蜀がまいた虚言でしょう。

蜀が呉へ要請し、蜀呉同盟条約により今年の五月に始まった呉と魏の戦い。
この戦況は諸葛亮のもとに届いていない。距離が離れすぎているからだ。

秋の初め、成都から尚書(しょうしょ)の費褘(ひい)が諸葛亮の陣へ来た。
費褘は言う。
呉と魏の戦いは魏が大勝し、呉軍は全軍退いたと。
諸葛亮は顔面蒼白となり、倒れる。

夕方になり、諸葛亮は侍者典医に支えられながら外に出て、秋夜の天を仰ぎ見て驚愕する。
そして諸葛亮は姜維(きょうい)を呼ぶ。

諸葛亮は姜維に言う。
わが命は天文にあらわれており、命の終わりを知ったと。

姜維(きょうい)の言葉で、諸葛亮は禳(はらい)の法をすることにした。
禳(はらい)の法を行うことにより、七日のあいだ、主燈が消えなければ寿命は十二年加えられる。
しかし途中に主燈が消えれば、命は終わるというのだ。
諸葛亮は姜維にこの準備を任せる。

帳中に籠る諸葛亮を守るため、姜維(きょうい)は四十九人の武者とともに、食も水も断ち、帳外に立つ。
諸葛亮は拝伏して、必死懸命に天に祈る。

メモ

●傍人(ぼうじん)
そばにいる人。

●怯惰(きょうだ)
臆病で意志が弱いこと。

●観取(かんしゅ)
見てそれと知ること。

●寸毫(すんごう)
ほんのわずか。

●惰気(だき)
なまけごころ。

●榻(とう)
こしかけ。

●倉皇(そうこう)
あわてふためくこと。

●旦夕(たんせき)
差し迫っていること。

●貔貅(ひきゅう)
中国古代神話上の生物)

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