秋風五丈原(しゅうふうごじょうげん) 三国志 五丈原の巻

あらすじ

魏の天文方より司馬懿のもとに報告が入る。
三つの流れ星が諸葛亮の軍営の上をながれ、二つは還ったが、一つは諸葛亮の軍営に落ちたという。
司馬懿は夏侯覇(かこうは)を呼び、命じる。
諸葛亮は危篤の状態かもしれぬゆえ、五丈原を偵察せよと。

この夜は、諸葛亮が帳中に籠ってから六日目である。
あと一夜である。

蜀の陣外から鬨の声がする。
蜀の魏延は帳中を守る姜維を突き飛ばして、帳中へ駆けこんだ。
魏軍が攻めてきたというのだ。
魏延は諸葛亮の前にひざまずこうとした際、壇の上の祭具を落とし、足元に落とす。
そして魏延は主燈の一つを踏み消してしまう。
姜維は帳中へ駆け入り、魏延へ斬りかかる。
諸葛亮は姜維を叱り、止めた。
諸葛亮は魏延に魏軍を追い払えと命じる。
意気消沈していた魏延は猛気を持ち返し、魏の夏侯覇(かこうは)を追い返す。

翌日、諸葛亮は病の床から姜維を呼び、自著の書巻を姜維に授ける。
そして後事の多くを姜維に託した。
つぎに楊儀を呼び、言う。
魏延(ぎえん)が謀反をおこした際に見よと、一書を秘めた錦の嚢(ふくろ)を渡す。

夕方から諸葛亮の容態は悪化する。
早馬は五丈原から漢中、漢中から成都へと走る。

成都に早馬が着き、今度は尚書僕射(しょうしょぼしゃ)李福(りふく)が成都から五丈原へ向かう。

諸葛亮は費褘(ひい)を呼び、遺言する。
・馬岱(ばたい)には国の兵馬を託せよ
・諸政の部門は費褘(ひい)が統括せよ
・戦陣国防の事は姜維(きょうい)に任せよ

成都から勅使李福が諸葛亮のもとに着く。
諸葛亮は言う。
蒋琬(しょうえん)が丞相たるの人であると。
「蒋琬が受けない場合は」と李福は尋ねる。
「費褘(ひい)がよい」と諸葛亮は答え、息絶える。
時は蜀の建興十二年秋八月二十三日。諸葛亮五十四

姜維(きょうい)、楊儀(ようぎ)たちは、諸葛亮の遺命に従って喪(も)を秘し、一営一営静かに退軍の支度を始める。

メモ

●茫(ぼう)
光。

●光芒(こうぼう)
光のすじ。

●徴(ちょう)
事実のおこる前ぶれ。

●罡を踏み斗を布く(こうをふみとをしく)
北斗七星の形にステップを踏む動作のこと。

●優渥(ゆうあく)
君が臣に対してねんごろに手厚いこと。

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