歩く木獣(あるくもくじゅう) 三国志 出師の巻

・孟獲、六たび生け捕られる

あらすじ

孟獲からの参戦依頼を受けた八納洞長(のうどうちょう)の木鹿王(もくろくおう)は白象に乗って、孟獲のもとにやってきた。

孟獲夫妻は歓迎の大宴会を開き続け、着城五日目に木鹿王は出陣した。

蜀の趙雲と魏延は、木鹿王の軍を見て驚いた。
木鹿軍の兵は漆を塗ったように黒く、木鹿王は白象に乗っており、その後ろには、つながれた猛獣の群れがあったからだ。

木鹿王(もくろくおう)が鐘を打ち鳴らすと、前列の槍隊が突っ込み、次に激しく鐘を乱打すると、檻が開いた。
獅子、虎、豹、毒蛇などの群れが、蜀軍へ襲いかかり、蜀兵は逃げに逃げまくった。
鐘が再び鳴り響くと、満腹となった猛獣たちは檻の中に戻り、木鹿王の軍は王宮へ引き揚げていった。

次の日、木鹿王(もくろくおう)は、大象に鞭を入れて突進し、四輪車に乗った諸葛亮に三度、宝刀を振り降ろした。
四輪車の一柱は、宝刀に斬り落とされた。
その間に、四輪車を押していた関索が、木鹿王の後ろに回り、木鹿王のあごを槍で突きぬいた。

猛獣に対しては、諸葛亮は巨大な木彫の怪獣で対抗した。
この怪獣は、口から火煙を吹いて駆けまわった。
猛獣たちは怯えてしまい、木鹿王の軍は逃げ崩れていった。

銀坑山(ぎんこうざん)の王宮を占領した蜀軍は、孟獲、その妻の祝融(しゅくゆう)、ほか一族を捕らえたが、諸葛亮は孟獲はじめその一族を解放した。

メモ

●咆哮(ほうこう)
ほえさけぶこと。

●箭(せん)
矢のこと。

●魁偉(かいい)
顔や体が人並はずれていかついさま。

●驚殺(きょうさつ)
非常に驚くこと。

●潰乱(かいらん)
敵に敗れ秩序を失って、まとまりがつかないこと。

●鼓角(こかく)
つづみと、つのぶえ。陣中で合図などに用いた。

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