鴛鴦陣(えんおうじん) 望蜀の巻

内容

劉備(りゅうび)から呉妹君(ごまいくん)と結婚することを聞いた喬国老(きょうこくろう)は、家族たちに劉備らを歓待させ、自身は呉夫人のもとへ急ぐ。

喬国老は呉夫人に慶びをのべるが、呉夫人は信じない。

呉夫人は家士のひとりに城下の様子を探らせる。

戻って来た家士は「劉備と呉侯のお妹姫との婚礼で、ご城下は慶祝気分です」と報告。

呉夫人は泣きだし、孫権(そんけん)のいる閣へ走り、問いただす。

孫権は「これは周瑜(しゅうゆ)の考えた劉備の命を奪う策。偽りの婚礼」と答える。

呉夫人は「息女(むすめ)をおとりに用いることは許しません。周瑜を斬っておしまい」と激怒。

喬国老の説得により、呉夫人はふたりで明日の対面場所と時刻を決める。

つぎの日の早朝。呂範(りょはん)は劉備の客館へ迎えにいく。

劉備は趙雲(ちょううん)と兵五百を連れて、甘露寺(かんろじ)へ向かう。

孫権・呉夫人・喬国老らが甘露寺(かんろじ)で劉備を迎える。

劉備の堂々たる態度に、呉夫人はひと目見て、心を寄せる。

大宴が始まり、呉夫人がますますご機嫌になった頃を見て、劉備は杯を置き、首を垂れた。

呉夫人は劉備に、どうしたのかと理由を聞く。

「廻廊の外や縁の下に兵が隠れており、恐ろしくて酒も飲めない」劉備は小声で訴える。

呉夫人は孫権を叱ると「知りません。呂範でしょう」と孫権は言う。

つぎに呂範を呼ぶと「知りません。賈華(かか)かもしれません」と呂範は言う。

呼ばれた賈華は、黙って首を垂れている。

呉夫人は賈華を斬るように命じる。

劉備は賈華の命乞いをし、助ける。

孫権は賈華を追い出し、喬国老は隠れている兵を叱りとばして追い出す。

大宴も夜に及び、劉備は大いに酔ったので外へ出ると、庭に巨岩がある。

劉備は天に祈念し、剣を巨岩に振り下ろすと、巨岩は両断された。

孫権が劉備に歩み寄り、劉備と同じように孫権も試してみると、巨岩は両断された。

日々夜々歓宴が行われ、劉備は逗留十数日を過ごす。

喬国老は、宮中に通って呉夫人を動かし、孫権をなだめ、劉備と呉妹君との婚礼をあげるところまでこぎつける。

婚礼の夜。劉備は女宮(にょきゅう)の深殿に導かれる。

侍女(こしもと)から局々の女たちまで全員が、槍槍(やり)薙刀(なぎなた)をたずさえている。

房の内外を司る管家婆(かんかば)という役目の老女は、「呉妹君は小さい頃から、剣技や騎馬弓矢の道がお好きなのです」と言う。

劉備は老女侍女など千余人の召使いに、金と絹を与える。

関連記事

次の章「朝の月(あさのつき)」へ進む

前の章「柳眉剣簪(りゅうびけんさん)」へ進む

トップページへ進む