玄徳冀州へ奔る(げんとくきしゅうへはしる) 臣道の巻

内容

「曹操が攻めてくる」劉備は対策に迫られていた。
張飛は劉備に言った。「奇襲を行って曹操軍の先鋒に大打撃を与え、下邳城(かひじょう)にいる関羽と協力して攻めればよい」
劉備は張飛の策を実行することにした。

曹操軍二十万は、小沛(しょうはい)の県境まで来ていた。
その日。曹操軍の大将旗が強風によって折れてしまった。
「これは吉か凶か」曹操は諸将に尋ねた。
荀彧(じゅんいく)が進み出た。「敵に夜討ちの動きありのしるしです」

「曹操軍はきょう着いたばかりですから、疲れてみんな眠り込んでいましょう」張飛は言って、劉備とともに夜討ちに出た。

張飛は偵察隊を出した。
戻って来た偵察隊は「敵兵は眠りこんでいます」と言った。
張飛は号令をあげ、曹操の陣営へ突っ込んだ。
曹操の兵はひとりも見当たらない。
四方から曹操の兵が現れ「劉備、張飛を生け捕れ」と叫んでいた。
張飛は数か所の傷を負いながら、生き残った二十騎ほどの味方とともに㟐蕩山(ぼうとうざん)方面へ逃げて行った。
劉備は三、四十騎の味方とともに小沛(しょうはい)の城へ逃げ向かった。

小沛(しょうはい)の城は曹操の兵に占領されていた。
劉備は道を変え、徐州(じょしゅう)城へ向かった。
徐州(じょしゅう)城には曹操軍の旗が立っていた。
劉備は冀州(きしゅう)の袁紹(えんしょう)を頼ることにした。

命からがら逃げてきた劉備は、袁紹(えんしょう)の嫡男袁譚(えんたん)が守る青州(せいしゅう)府の城下に着いた。
袁譚(えんたん)から報告を受けた袁紹(えんしょう)は、劉備を引き取るため、軍を送り、みずからは冀州(きしゅう)城外三十里の地まで劉備を迎えに出た。
劉備は袁紹(えんしょう)の手厚いもてなしに、ひたすら感謝した。

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