火か人か(ひかひとか) 臣道の巻

内容

「なぜ酒宴に参加しなかったのか」曹操は董承(とうじょう)に問いただした。
「持病のため、不本意ながら」
「そなたの持病は吉平(きっぺい)に毒を盛らせたら治るものであろう」

曹操は吉平(きっぺい)を董承(とうじょう)の前に置いた。
「王子服(おうじふく)、呉子蘭(ごしらん)、呉碩(ごせき)、种輯(ちゅうしゅう)の四人は捕らえたが、もう一名、首謀者がいるらしい。董承(とうじょう)殿はご存じないか」
董承(とうじょう)はあわてて顔を横に振った。
曹操は吉平(きっぺい)の舌を引き抜けと命じた。
たまらず、吉平(きっぺい)は「白状するから縄をといてくれ」と言った。
縄を解かれた吉平(きっぺい)は自分の頭を階段の角にたたきつけて命を落とした。

曹操は慶童子(けいどうじ)を董承(とうじょう)の前に置いた。
慶童子(けいどうじ)は動かぬ証拠を証言したので、董承(とうじょう)は床に崩れ落ちた。

曹操は董承(とうじょう)の邸内を隅々まで探させ、帝の血詔と義盟の連判を発見した。

曹操は「帝をのぞいて、他の帝を立てる」と言った。
荀彧(じゅんいく)は「朝威がなくなったら、もう大義の名はありませんぞ」と諫めた。
帝をのぞくことはなくなったが、その結果、董承(とうじょう)、王子服(おうじふく)、呉子蘭(ごしらん)、呉碩(ごせき)、种輯(ちゅうしゅう)の一族、あわせて七百余人の命が奪われた。

曹操が兵を率いて帝の前に現れて、言った。「董承(とうじょう)の娘である董貴妃(とうきひ)を斬れ」
ほかにも、董承(とうじょう)と親しかった宮官何十人が命を奪われた。

曹操は兵三千を御林の軍と称して諸門に立たせ、その大将に曹洪(そうこう)を任命した。

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