生きて出る柩(いきてでるひつぎ) 三国志(八)図南の巻

・龐徳の軍、柩を担ぐ

あらすじ

曹仁が立てこもる樊城(はんじょう)は、関羽軍に取り囲まれてしまった。
曹操は、于禁を大将に指名し、曹仁を助けるよう命じた。
相手は関羽である。于禁は先陣にあたる副将を一人つけてほしいと願った。
すると、龐徳(ほうとく)が名乗り出たため、曹操は認めた。
しかし龐徳は馬超の腹心であったため、蜀と内通しているのではないかという疑いがあった。

その夜、于禁は魏王宮に上り、曹操にその疑いを伝えた。
曹操は龐徳(ほうとく)を呼び、副将の役目を取り下げた。
龐徳は、曹操の恩に報いたいのみであり、馬超や蜀との関係はないと嘆いた。
それを聞いた曹操は龐徳をふたたび副将に命じた。

龐徳の軍が出陣のとき、先頭の兵は柩を担いでいた。龐徳が関羽に討たれたときには、この柩に収めよというのである。
龐徳出陣の様子を聞いた曹操は喜んだ。
そばにいた賈詡(かく)は曹操に言った。龐徳の武勇は関羽に匹敵するが、知略は関羽に及ばない。血気盛んに勢いだけで進むと、失敗するでしょう。龐徳の気持ちを弱めたほうがよいと。
曹操はすぐに使いを出し、龐徳に「軽々しく仕懸(しかけ)るな」との命を出した。
それを聞いた龐徳は、曹操の戒めを気にもせず、樊川(はんせん)へ猛進した。

メモ

●けだし
思うに。

●懇ろ(ねんごろ)
親身であるさま。

●驍勇無比(ぎょうゆうむひ)
強く勇ましく、他に比べるものがないこと。

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