賭(かけ) 五丈原の巻

内容

長雨により、陳倉(ちんそう)いる魏(ぎ)軍に病人溺死者が続出。食糧が底をついたため、魏軍は退却。

対して蜀(しょく)軍は二軍に分け、魏延(ぎえん)・陳式(ちんしき)らの部隊は箕谷(きこく)の道から、諸葛亮(しょかつりょう)は斜谷(やこく)の道から進み、祁山(きざん)へ向かう。

魏軍の司馬懿は、蜀軍は箕谷(きこく)と斜谷(やこく)の両道から祁山へ出てくると主張。

しかし曹真(そうしん)は同意しない。

曹真と司馬懿は、これから十日のうちに蜀軍が進軍して来るか否かについて賭ける。

司馬懿は祁山の東にあたる箕谷に、曹真は祁山の西にあたる斜谷の口に軍を伏せる。

諸葛亮は、箕谷を進む魏延と陳式の軍に使いとして鄧芝(とうし)を送る。

鄧芝は諸葛亮からあずかった「魏軍に注意せよ」との命を伝えるが、魏延と陳式は一笑に付す。

急いで諸葛亮のもとに戻った鄧芝は、一部始終を報告。

諸葛亮のもとに早馬が来る。陳式の部隊は魏軍に襲われ、魏延の部隊も危険な状態だという。

諸将を呼び集めた諸葛亮は、それぞれに策を命じ、諸葛亮自身も前進。

その頃、曹真の物見が、この先の谷間に蜀の兵が出没していると報告。このとき、賭けの日から八日目にあたる。

曹真は賭けに勝つために、大将秦良(しんりょう)に約五千騎を与え、谷口をふさがせる。

蜀の兵が増えてきたため、秦良は蜀軍を攻めにでる。

秦良は谷道を五、六里ほど追撃したところ、四方から蜀軍に囲まれて斬られ、魏兵は鎧や武器を捨て降伏。

諸葛亮は自軍の兵に魏の鎧や武器を取って装わせ、魏兵に偽装させる。

司馬懿の使いが来て、箕谷(きこく)には蜀軍が現れたがここはどうかと曹真は問われ、ひとりの蜀兵も見ないと答える。

賭けの十日目、曹真の陣に味方の秦良の部隊が戻ってくる。

秦良の部隊を迎え入れた曹真は、秦良の部隊に偽装した蜀兵に攻められる。

曹真は馬の背につかまり、逃げ走る。

蜀軍は曹真を追うが、司馬懿率いる魏軍が現れ、曹真は助かる。

司馬懿は曹真に使いを出したとき、「ひとりの蜀兵も見ない」と答えられたので、慌てて救援に向かったというのだ。

その後、曹真は病に伏す。

諸葛亮は祁山に進み、布陣。

陳式は極刑に処され、魏延は許される。諸葛亮の胸の内は苦しかった。魏延の武勇を捨てることはできない。蜀には魏延に代わる良将はいないのである

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