関平(かんぺい) 三国志(八)図南の巻

・龐徳、関羽を射る

あらすじ

曹仁が籠っている樊城(はんじょう)を取り囲んだ関羽は、魏の援軍数万騎が迫っていると報告を受けた。
関羽軍と先鋒龐徳の軍は対峙し、関羽と龐徳はぶつかった。しかしなかなか決着がつかない。
蜀の関平は、年をとった父関羽のことを考え、引き揚げの鐘を鳴らした。

次の日も関羽と龐徳はぶつかった。
龐徳は急に逃げ出したので、関羽が追うと、次に龐徳は関羽の顔を狙って、矢を放った。
関羽は左のひじを曲げて、矢を受けた。
関平は馬を飛ばして関羽に駆け寄り、ともに戻ろうとしたところを龐徳は襲いかかってきた。
関羽軍と龐徳軍は入り乱れて戦い、そのあいだをくぐって、関平は味方のうちへ戻ってきた。

魏の中軍では、引き揚げの鐘が鳴っている。
龐徳は慌てて戻り、于禁に引き揚げの理由を問うと、
「別に何が起ったというわけではない。関羽の計にはまってはと、部下の者の深入りを止めたまでのことである」と于禁は返した。
龐徳は歯ぎしりをした。
一部の将の間では、龐徳が手柄をたてることに嫉妬した于禁が、引き揚げの鐘を鳴らさせ、邪魔をしたという噂が流れた。

メモ

●犢(こうし)
牛の子。

●無二無三(むにむさん)
わきめもふらず、ひたすらな様子。

●矢たけび(やたけび)
戦いの時に発する声。

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