内容
明け方。見廻り隊が関羽の邸の前を通った。門が開いている。奥に入っていくと、曹操が贈った十人の美女が立っていた。
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その日の朝。曹操のもとに見廻り隊から報告が入った。
曹操は立ち上がり、張遼(ちょうりょう)らを伴い、関羽のあとを追った。
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関羽を呼ぶ声が聞こえた。張遼が追い駆けてきたのである。
曹操がここに来るので待ってほしい、と張遼はいうのだ。
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曹操は六、七騎の腹心のみを従えて駆けてきた。
餞別として金銀を曹操は贈ったが、関羽は受け取らなかった。
曹操は、甘(かん)夫人と糜(び)夫人への餞別として受け取ってほしいと言った。
曹操は関羽に錦の衣服を贈った。
錦の衣服を持った大将は馬を降りて、関羽の馬の前にひざまずき、錦の衣服を掲げた。
関羽は馬上から、青龍刀(せいりゅうとう)の刃先に錦の衣服をひっかけて受け取り、立ち去った。
「なんたる傲慢」曹操に付き添った大将たちは激怒し、関羽を追いかけようとしたので、曹操はなだめた。
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関羽は甘(かん)夫人と糜(び)夫人の車を追ったが、車の姿が見えなかった。
彼方の山から、百人ほどの兵を従えた大将が関羽のほうに向かって来た。その大将は廖化(りょうか)と名乗った。
廖化が話したことをまとめると
・この地方を中心に山賊を業としている。
・仲間の杜遠(とえん)が二夫人の車を奪い、山中へ引き連れた。
・二夫人が劉皇叔の夫人と知り、杜遠に元の場所に戻すよう説得した。
・杜遠は聞き入れなかったので、杜遠を斬り、その首を関羽に献上した。
廖化は山中へ馬を走らせ、しばらくすると、二夫人の車とともに山道を降りて来た。
関羽は廖化に礼を言った。
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三日目の夕方。林の中を関羽らは進んでいた。
彼方に炊煙が立ちのぼっていたので、そこを宿とすることにした。
そこに住む老翁は関羽らを迎えた。
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老翁は胡華(こか)と名乗り、息子胡班(こはん)は滎陽(けいよう)の太守王植(おうしょく)の従事官をしている、と言った。そして紹介状を関羽に渡した。
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