風の便り(かぜのたより) 臣道の巻

内容

春となった。
袁紹(えんしょう)軍は陽武(ようぶ)の要害へ陣を移した。
曹操はひとまず都へ戻り、酒宴を催した。

酒宴の最中、曹操のもとに汝南(じょなん)から早馬が来た。
黄巾の残党である劉辟(りゅうへき)と龔都(きょうと)が汝南で暴れており、討伐にやった曹洪(そうこう)が大打撃をうけて退却中だという。
関羽は汝南の鎮圧を申し出た。
曹操は関羽に五万の兵を与え、副将に于禁(うきん)と楽進(がくしん)をつけた。

関羽の軍は汝南に迫り、明日の戦に備えて本陣を置いた。
その日の夜。見廻り隊が二人のあやしい男を捕らえ、関羽の前に置いた。
その一人は劉備配下の孫乾(そんけん)だった。
関羽は左右の兵を退けた。
孫乾が話したことをまとめると、
・徐州から汝南へ落ちのび、劉辟(りゅうへき)や龔都(きょうと)と親しくなり、身を寄せていた。
・袁紹から、曹操の側面を攻める条件で、物資を得ていた。
・劉備は袁紹の陣にいると耳にしている。
・劉辟と龔都は関羽を尊敬している。
・袁紹との約束があるため、劉辟と龔都は兵を率いて現れるが、戦うふりをして逃げるので、手加減をしてほしい。
・河北(かほく)へ行って状況を探ってくる。
関羽は孫乾ら捕らえた二人を裏門から放した。
副将于禁(うきん)と楽進(がくしん)は物陰から一部始終を見ていた。

次の日。劉辟(りゅうへき)と龔都(きょうと)は陣頭に現れたが、関羽が追い払い、退却した。
関羽は汝南を治め、都へ戻った。

曹操からの歓待を受けたあと、関羽は甘(かん)夫人、糜(び)夫人のもとへ向かった。
二夫人は劉備の行方を尋ねると、関羽は「もう少しお時間を」と答えた。
関羽の返事に二夫人は嘆いたため、関羽は劉備の行方を説明した。

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