剣と戟と楯(けんとほことたて) 図南の巻

内容

「漢中(かんちゅう)を平定した曹操(そうそう)が、蜀を攻めにくる」という噂が蜀(しょく)に広まる。

伊籍(いせき)は劉備の書簡を持ち、呉(ご)へ向かう。その途中、荊州(けいしゅう)へ寄り、劉備(りゅうび)と諸葛亮(しょかつりょう)の意を伝える。

伊籍は孫権(そんけん)に申し出る。「まず荊州三郡をお返しします。呉が合淝(がっぴ)をお攻めになれば、曹操はすぐに漢中から都へ引き揚げますので、劉備は直ちに漢中を獲ります。そうなれば荊州全土は、そっくり呉へお返しする考えです」

孫権は伊籍の申し出を認め、魯粛(ろしゅく)を荊州へ派遣。

呉軍は陸口(りっこう)附近に駐屯。魏の皖城(かんじょう)ひとつ落とすのに、かなりの犠牲を払う。

占領したその日。孫権は宴を開く。

遅れてきた凌統(りょうとう)は言う。「もう二日早く着いていたら、この一戦に間に合ったものを」

「まだ合淝の城が残っている。それがしの如く、一番乗りをし給え」皖城攻め一番乗りを果たした甘寧(かんねい)が言う。

凌統は剣を抜いて剣舞をはじめ、甘寧はうしろの戟(ほこ)をとって舞い始める。

剣と戟の舞は激しさを増したため、呂蒙(りょもう)が楯(たて)を持って戟と剣の間へ飛びこみ、その場を収める。

孫権は凌統と甘寧を呼んで杯を二人に渡し、「旧怨は互いに忘れてくれよ」と諭す。

関連記事

次の章「遼来々(りょうらいらい)」へ進む

前の章「漢中併呑(かんちゅうへいどん)」へ進む

トップページへ進む