黄河を渡る(こうがをわたる) 臣道の巻

内容

顔良(がんりょう)が討たれた。
「顔良を斬れるのは劉備の義弟関羽しかいません」袁紹(えんしょう)配下の沮授(そじゅ)が言った。
「赤面で、ひげが見事であり、大薙刀(おおなぎなた)を持っていました。その者は関羽と名乗っていました」前線から敗走してきた兵は言った。
「劉備を引っ張ってこい」袁紹は激怒し、命じた。

劉備は両手をねじあげられて、袁紹の前に置かれた。
「この恩知らずめ。曹操と内応しておったな。すぐに斬れ」袁紹は命じた。
劉備は身に覚えのないことなので、袁紹に身の潔白を訴えた。
袁紹は劉備になだめられ、沮授が悪いと謝罪させた。

顔良の弟文醜(ぶんしゅう)が「先鋒に」と名乗り出た。
袁紹は兵十万を与えた。
文醜はすぐに黄河まで進んだ。
曹操軍は陣を退いて、河南(かなん)に陣を敷いていた。

文醜は十万の兵を無数の船に乗せ、黄河の対岸へ攻めあがった。
「文醜はなにも考えずにただ進んでいるだけです。このままだと全滅してしまいます」沮授は袁紹に言った。
「わが士気を惑わすな」袁紹は怒鳴った。
その日から沮授は病と称し、陣務に出てこなかった。

「顔良を討ったのが関羽かどうかを確かめるため、先陣に出していただきたい」劉備は袁紹に願い、袁紹は許した。
文醜は自身の兵の四分の一を劉備に分け与えて第二陣へ退かせ、自身は残った四分の三の軍で前進を始めた。

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