孔明を訪う(こうめいをおとなう) 孔明の巻

内容

城門の番兵は、翁が面会にきている、と劉備に報告した。
劉備は内門まで迎えに行くと、その翁は司馬徽(しばき)であった。
司馬徽(しばき)は、徐庶(じょしょ)が劉備に仕えていると聞き、会いに来たという。
徐庶はここにはいないことを劉備は説明した。
劉備は司馬徽に、徐庶が勧めた諸葛亮のことを尋ねた。
「諸葛亮は、周(しゅう)の世八百年を興した太公望(たいこうぼう)、漢の創業四百年の基礎をたてた張子房(ちょうしぼう)と比べても劣らない」司馬徽は続けた。
「ああ。臥龍(がりょう 諸葛亮のこと)先生、主を得ても、その時を得ず」大笑いしながら、司馬徽は立ち去った。

ある静かな冬日和の日。劉備は、関羽と張飛とともに、諸葛亮のいる隆中(りゅうちゅう)へ向かった。

諸葛亮の草庵の門にひとりの童子がいた。
童子は、諸葛亮は今朝早くに出かけて、まだ帰ってきていない、という。十数日のあいだ帰って来ないこともあり、いつ帰るのかわからない、ともいった。
劉備は童子に言づてを頼み、帰った。

新野(しんや)に帰った劉備は、数日後に、諸葛亮の在否を確認するため、ひとを隆中へ送った。
隆中から戻って来た者は、諸葛亮は家に帰っているようです、と報告した。
劉備はすぐに隆中へ向かった。十二月のなかばであった。

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