木門道(もくもんどう) 三国志 五丈原の巻

あらすじ

蜀の軍需増産を監督している李厳から書簡が届いた。
呉は蜀との同盟を断って、魏と組む動きがあるというのだ。
諸葛亮は直ちに全軍に総退却を命じた。

物見からの報告を受けた司馬懿は退却する蜀軍を追った。
魏軍が木門道に近づいた。
司馬懿に同行していた張郃は、大軍では追いつかないと主張し、五千騎をともなって先に蜀軍を追った。

先に木門道に入った張郃は蜀軍の攻撃にあった。
しかし攻め進め、木門道の谷まで来た。
突然、矢が降り注ぎ、巨木巨石が落ちてきた。
あちらこちらで火が起こり、張郃が気づいた時には、火に囲まれていた。
炎は張郃を焼いた。

敗走してきた魏兵から知らせを聞いた司馬懿は諸葛亮の策を恐れた。
魏軍を退却させ、要所要所に諸将を守らせ、司馬懿は洛陽へ戻った。

一方、諸葛亮は漢中に戻った。
そこへ成都から使者がきて、蜀帝劉禅は理由もなく漢中へ戻ったことを不審を抱いていると言った。
そのため諸葛亮は成都へ帰り、調査を命じた。
その結果、李厳が諸葛亮に送った書簡の内容に偽りがあったことがわかった。
軍需増産の実績が悪く、前線への支援が滞るため、蜀と魏の戦いを中断させる意図があったのかもしれない。
本来なら極刑である。
しかし李厳は先帝劉備が今後を託した重臣である。
そのため極刑は免れ、官職を剥奪し、梓滝郡(しどうぐん)へと送られた。

メモ

●遅疑逡巡(ちぎしゅんじゅん)
疑い迷い、ためらい迷ってすぐに決定を下さないこと。

●奔軍(ほんぐん)
敗走の軍。

●畢生(ひっせい)
一生。

●錣(しころ)
かぶとの左右や後ろにたれてくびをおおうもの。

●武祖文皇(ぶそぶんのう)
曹操と曹丕のこと。

●弄策(ろうさく)
はかりごとをすること。

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