霧風(むふう) 臣道の巻

内容

ある日。陳登(ちんとう)は車冑(しゃちゅう)に呼ばれて、徐州(じょしゅう)城に着くと、
「丞相(じょうしょう)から劉備の命を奪うべしとの密書が届いたのだが」と来るのを待っていた車冑(しゃちゅう)は言い、策を求めた。
車冑(しゃちゅう)は陳登(ちんとう)の策を認め、劉備を酒宴に招待した。

陳登(ちんとう)は家に帰ると、父陳珪(ちんけい)に報告すると
「すぐに劉備殿に知らせるように」と陳珪(ちんけい)は言った。

夜になるのを待って、陳登(ちんとう)は劉備の宅を訪れたが、劉備には会わず、関羽と張飛に車冑(しゃちゅう)の計画を話した。
関羽と張飛は劉備の耳に入れるまでもないと思ったのか、ふたりで解決することにした。

真夜中に、関羽と張飛は曹操の旗じるしと兵馬をともない、徐州(じょしゅう)城に迫った。
「開門せよ」と叫んだ。「丞相(じょうしょう)の使いにより急ぎ下って来た」関羽は声を作った。
「早く城門をお開けなさい」陳登(ちんとう)は横にいる車冑(しゃちゅう)に言った。
「前触れもない不意の使者、開けることはだめだ」車冑(しゃちゅう)は言った。
「門を開けなければ異心ありと丞相(じょうしょう)に報告するまで」声を作った関羽は兵を引き返すよう号令した。
車冑(しゃちゅう)はあわてふためいて、城門を開けた。
城の中に関羽と張飛の兵は入って行き、城を制圧した。
車冑(しゃちゅう)は逃げ出したが、追ってきた関羽に首を斬られた。

夜が明け、劉備は関羽と張飛の行いを知り、徐州(じょしゅう)城へ駆けつけようとすると、関羽が帰って来た。
関羽の鞍には車冑(しゃちゅう)の首がくくりつけられていた。
「自分が知っていれば、命を奪わなかったのに」劉備は悔やんだ。
張飛は遅れて帰って来た。
「車冑(しゃちゅう)の家族はどうした」劉備は問うた。
「ことごとく命を奪った」張飛は答えた。
「曹操は激怒するにちがいない」劉備は曹操に対して恐れを深く抱いた。

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