内容
この年、六十五歳となる曹操(そうそう)は体の不調を訴えることが多くなる。
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ある日、側近たちは曹操に、べつに新殿を建てて気をかえてはどうかとすすめる。
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建築には蘇越(そえつ)という名工が呼ばれた。
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蘇越の設計図には、中心に九間の大殿がある。
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「どこからそんなに大きな材木を探してくるのか」曹操は蘇越に問うた。
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「洛陽(らくよう)から三十里、躍龍潭(やくりょうたん)の淵に高さ十余丈の梨の木があり、千古(せんこ)の神木です。これを伐って棟梁(はり)とするは如何でしょうか」蘇越は答える。
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曹操は直ちに大勢の人を派遣。
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その神木の幹は、鋸(のこぎり)の刃も斧も受けつけない。
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曹操は数百騎の供をつれて躍龍潭へ行った。剣を抜いて神木の幹へ刃を入れて「もう心配ないから恐れずに伐れ」と命じ、洛陽(らくよう)へ帰った。
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洛陽に戻った曹操は、気分が悪いと寝込んでしまう。
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華歆(かきん)は天下の名医華陀(かだ)を洛陽へ招きよせた。
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華陀は曹操を診断し、非常に難しい手術が必要だと告げる。頭を切り開いて、病根を切り除くというのだ。
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曹操は華陀の医術を疑うため、華陀は「関羽のひじを切り開いて全治させております」と言った。
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それを聞いた曹操は、「汝は関羽と親しい間がらであるな。予の病を機として近づき、関羽の仇を討つつもりであろう」と激怒し、華陀を獄へ放り込んだ。
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