日輪(にちりん) 図南の巻

■ 登場人物

劉備(りゅうび)…… 皇叔。
阿斗(あと)…… 劉備の子。
孫権(そんけん)…… 呉侯。
張紘(ちょうこう)…… 孫権の部下。
呂蒙(りょもう)…… 孫権の部下。
曹操(そうそう)…… 丞相。
董昭(とうしょう)…… 曹操の部下。
荀彧(じゅんいく)…… 曹操の部下。

■ あらまし

(一)

孫権の妹にして劉備の夫人、阿斗を連れずに呉の都へ帰る。

孫権、重臣張紘の遺言により建業(けんぎょう)へ遷都。呂蒙の意見を採用し、濡須(じゅしゅ)に堤を築く。

長史董昭、魏公(ぎこう)にのぼり、九錫の礼(きゅうしゃくのれい)をもつことを、曹操にすすめる。

(二)

曹操、朝廷にゆるしを求め、魏公と称し、九錫の礼(きゅうしゃくのれい)をもつ。

荀彧、曹操を諫めるが、曹操、聞く耳を持たず。

荀彧、病と称し、自邸にひき籠る。呉攻めの軍への参加を拒否。

曹操、荀彧にお見舞いを贈る。お見舞いの器の上には「曹操親(ミズカ)ラ之ヲ封ス」と紙がかけてある。

荀彧、器を開く。器の中は空(から)。その日の夜、自ら毒をのんで命を絶つ。

(三)

魏軍、呉へ下っていく。

曹操、荀彧が命を絶ったことを知り、敬侯(けいこう)と諡(おくりな)する。

魏軍、濡須(じゅしゅ)の堤の前に陣を敷く。

曹操、呉陣偵察時に呉の奇襲を受ける。

その日の晩。魏軍、呉軍の夜襲をうける。五十里ほど陣を退く。

(四)

魏軍、連戦連敗をかさねて年が暮れる。

翌建安十八年二月、大雨が続き、食糧難となる。

曹操、軍の引き揚げを促す一書が孫権から届く。書簡の裏には「ソッカシナズンバ ワレヤスキヲエズ」とあり、苦笑する。

次の日。曹操、引き揚げを命じる。

呉軍、秣陵(まつりょう)の建業へ帰る。

孫権、魏軍撤退させ、自信を得る。

■ 章題由来

「その晩、曹操は、ふしぎな夢を見た。焔々たる日輪が雲を捲いて、空中から大江の波間に落ちたとみて眼がさめたのである」

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