女衣巾幗(にょいきんかく) 三国志 五丈原の巻

あらすじ

葫芦谷(ころこく)での戦いのあと、蜀軍は渭南(いなん)に陣にまとめる。

魏延(ぎえん)が激怒していると知り、諸葛亮は魏延を呼ぶ。

魏延を言う。
司馬懿とともに亡き者にしようとしただろうと。

諸葛亮は「このような手違いがないように馬岱にきつく命じていたものを」と言い、馬岱を呼ぶ。
そして馬岱をののしり、五十叩きの刑を命じ、一軍の大将から一組の小頭に落とす。

馬岱は自陣へもどると、ひとり涙を流し憤る。

夜になり、諸葛亮側近の樊建(はんけん)が馬岱のもとを訪れる。
樊建は諸葛亮から預かった言葉を伝える。
・魏延を除くつもりだったが、今、魏延に背かれては蜀軍の崩壊となる。
・そのため何の過ちもない馬岱に汚名を着せた。
・蜀のためにこらえてくれ

馬岱の心は晴れ、むしろ諸葛亮を思いやる。

魏延は諸葛亮に馬岱を部下にしたいと言う。
諸葛亮は許さなかったが、それを聞いた馬岱はみずから魏延の部下になる。

春になっても、蜀軍と魏軍は対陣したままである。

しばらくして蜀軍は五丈原へ向かって動きだし、そこに陣を置く。

蜀軍は魏軍を挑発するが、魏軍はまったく動かない。

諸葛亮は書簡と美しい牛皮の箱を使者に渡す。
使者は司馬懿のもとへ向かう。

蜀の使者から受け取った箱を司馬懿は開く。
箱の中には、少女が髪を飾る布と、女服が入っている。
書簡にはこうある。
大軍を持ちながら、攻めてこないのはどうしてか。男ならば戦えと。
司馬懿の心の内は激怒しているが、それとは反対に笑って贈り物を受け取る。

魏の陣から帰ってきた使者に諸葛亮は司馬懿の反応を尋ねる。
使者は言う。
・贈り物に対して司馬懿は笑っていた。
・諸葛慮の食事や睡眠、日常生活を問われ、それでよく体が続くものだと感心していた。

諸葛亮は「司馬懿はわが命をはかっている」と言い、嘆く。

メモ

●面罵(めんば)
相手を目の前においてののしること。

●笄(こうがい)
女性の髷(まげ)に横に挿して飾りとする道具。

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