内容
劉備は諸葛亮に会うことができず、ついに年は暮れてしまった。
↓
年は明けて、建安(けんあん)十三年。
劉備は易者に吉日を選ばせ、体を洗い清め、関羽と張飛をともない、諸葛亮のもとへ向かった。
↓
諸葛亮の草庵に着くと、諸葛亮の弟諸葛均(しょかつきん)が門を開いた。諸葛亮は家に帰っていると言う。
柴門(さいもん)を入って進むと、内門が見えた。内門をたたくと、童子が現れた。
「先生は草堂で昼寝をされています」童子は言った。
劉備は、関羽と張飛を内門の外に控えておくようにと言い、自身は草堂の中に静かに入り、階下に立って、諸葛亮が起きるのを待った。
↓
諸葛亮は目を覚ました。
「劉備様が階下に立って、お待ちになっておられます」童子は言った。
諸葛亮は後堂へ入って身なりを整え、劉備を迎えた。そして詫びた。
↓
座について、茶をすすりながら諸葛亮は言った。
「ご書簡を見て、恐縮しました。ご期待にこたえる力がないことを、遺憾に思うばかりです」
「司馬徽(しばき)や徐庶(じょしょ)のことばに嘘がありましょうか。愚夫玄徳のため、ご指導ねがいます」
劉備は諸葛亮に語り続けた。
諸葛亮は静かな瞳で劉備を眺めていた。
関連記事