神卜(しんぼく) 図南の巻

内容

曹操(そうそう)は太史丞(たいしじょう )の許芝(きょし)を呼び、「占い者に見てもらいたい」と言うと、許芝は管輅(かんろ)という者の名を出す。

許芝は管輅の逸話を語り、管輅は以後、誰が何といっても決して占いをしないことにしている、という。

曹操は、管輅を連れてこいと許芝に命じる。

許芝の申し出に管輅はかたく拒むが、許芝が再三にわたり懇望するため、曹操の前に出ることにした。

曹操は早速、自身は何かに祟られているのではないかと言い、左慈の事件を話す。

「それは幻術というものです。実際の出来事ではありません。どうして心を病むことがありましょうか」管輅は笑った。

「呉の国の吉凶はどうだろう」曹操が問うと、「呉では、誰か有力な重臣が死ぬと思われます」管輅は答え、「蜀は?」と問うと、「近日、境を侵(おか)して、他を犯すこと必然です」と答えた。

数日後、呉の魯粛(ろしゅく)の病死と、蜀の劉備が漢中への進攻を計画していることがわかり、管輅の予言は的中する。

曹操はすぐに出馬しようとしたが、管輅は、「来春早々、都に火の禍いがありましょう。大王は遠くへ出るべきではありません」と告げたため、曹洪に兵五万をさずけて漢中へ向かわせ、自身は、鄴郡(ぎょうぐん)にとどまる。

関連記事

次の章「正月十五夜(しょうがつじゅうごや)」へ進む

前の章「藤花の冠(とうかのかんむり)」へ進む

トップページへ進む