死せる孔明、生ける仲達を走らす(しせるこうめい、いけるちゅうたつをはしらす) 三国志 五丈原の巻

あらすじ

司馬懿は天文を観て、諸葛亮は死んだと狂喜する。
そして蜀軍への総攻撃を命じる。
しかし司馬師、司馬昭の二子は父司馬懿の興奮を諫める。
司馬懿は夏侯覇に蜀陣の偵察を命じる。

蜀陣の外を守るは魏延の部隊。
魏延をはじめ、この部隊はまだ諸葛亮が亡くなったことを知らない。

その夜、蜀の費褘(ひい)は魏延の陣所へ行って、諸葛亮が亡くなったことを伝える。
そこで軍権が楊儀にあることを知る。
魏延は楊儀の下に従うことはできないと言い、費褘に楊儀の説得を任せる。

費褘は本陣へ帰り、諸将を集める。
そこで、魏延のことを話し、諸葛亮の遺言のとおり退却することに決まる。

翌日の夜、蜀軍は総引き揚げを始める。

魏延は費褘(ひい)からの吉報を持っている。
しかし返事はない。
物見の者からは、味方のほとんどは退却し、後陣の姜維(きょうい)も退却しはじめているという。
五丈原の前線に置き去りにされるところだった魏延は激怒し、蜀の本軍を追いかける。

蜀軍の偵察を終えた夏侯覇(かこうは)は急いで司馬懿のもとに戻り、言う。
蜀軍は引き揚げの準備をしていると。
司馬懿は手を打った。
そして魏軍全軍は五丈原へ向かう。

魏軍は五丈原の蜀陣になだれ入る。
そこに蜀兵は一人もいない。
司馬懿は「まだ遠くまで行っていない」と蜀軍を追いかける。

一方の山間から蜀軍が現れる。
四輪車に座っているのは諸葛亮。
諸葛亮の姿をみた司馬懿は慌てて逃げる。

司馬懿のあとを追ってきた魏の夏侯覇(かこうは)と夏侯威(かこうい)の兄弟は司馬懿に言う。
蜀軍は急激に退却をしているので、猛追撃を行われてはと。
しかし諸葛亮が生きていると知った司馬懿は恐れて魏軍の引き揚げを命じる。

近辺の百姓たちの話しによって、わかったことがある。
それは車の上の諸葛亮は木像であったこと。
司馬懿はすぐに兵を集め、蜀軍を追ったが無駄であった。
司馬懿は長安へ戻ることにした。

メモ

●鐙(あぶみ)
鞍(くら)の両側に下げ、騎乗時に足を乗せる馬具の一種。

●紗(しゃ)
綟り織(もじりおり)で織られた、薄く透き通る絹織物。

●長駆(ちょうく)
馬で長い距離を走ること。

●安臥(あんが)
楽な姿勢で寝ること。

●低徊(ていかい)
思いにふけりながら、ゆっくり歩きまわること。

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