水火(すいか) 三国志 五丈原の巻

あらすじ

魏軍は蜀軍の輸送隊を襲うたびに兵糧や輸車を得て、連戦連勝となる。

司馬懿は捕らえた蜀の武将を取り調べわかった。
・諸葛亮は葫芦谷(ころこく)の西方十里ばかりの地点にいる。
・谷にある城塞には数年間を支える兵糧が運び込まれている。

魏軍は大挙して祁山へ向かう。渭水(いすい)の浅瀬を渡り、蜀軍を襲う。
蜀兵は乱れて、祁山(きざん)の裾から山ふところの陣営へ敗走する。

魏軍は蜀軍を追うが、突然、方向を変えて葫芦谷(ころこく)へ向かう。
司馬懿は息子の司馬師と司馬昭をともない、張虎と楽綝(がくりん)の二隊も司馬懿につづく。

蜀の魏延(ぎえん)が司馬懿の軍の前に立ちはだかる。
しかし司馬懿の後ろに楽綝(がくりん)と張虎の二軍が続いていたため、逃げ出す。

魏軍が葫芦谷(ころこく)に迫ってくると、蜀の魏延は兵を立て直し、ふたたび抗戦する。
しかし魏軍には敵わず、魏延は谷の内へ逃げ込む。

魏軍は谷の内へ突進する。

狭い道の遠くで蜀の魏延が刀を横たえて待ち構えている。

司馬懿は馬上から手を振って後ろに続く部隊を止める。
進行を止めた理由は蜀の魏延が待ち構えていることもあるが、周辺にたくさんの枯れ柴が積んであるからだ。
倉庫の近くは火気厳禁のはずだ。しかし燃えやすい枯れ柴などが積んである。

司馬懿は「早く引き返せ」と号令する。

その時、煙の臭いがした。
一発の轟音とともに道の壁の上から巨大な岩石が落ちてくる。
魏軍の馬も兵も岩石の下になり、谷の口は巨石により封鎖される。
四方から火矢が飛び、谷中を火の海と化す。

蜀の勝利を確信した蜀の魏延は谷口へ向かうが、巨石でふさがれている。
魏延の部下たちも火におおわれ倒れていく。
蜀の魏延は、司馬懿とともに魏延も亡き者にしようとする諸葛亮の計であると確信し、激怒する。

その頃、司馬懿父子は濠の中で三人抱き合い、最期を覚悟した。
ちょうどその時、はげしく雨が降りはじめ、谷中の火を消す。
司馬懿父子三人は濠の中から這い上がり、谷間から外へ出る。

司馬懿は渭水(いすい)の本陣に帰ると、蜀軍が魏の本陣を攻めている。

帰ってきた司馬懿の軍を見た蜀軍は退却をし、渭水の南に陣をさげる。

今回の戦いで魏が失った損害は開戦以来、最大である。
しかし諸葛亮は天を仰ぎ、悲観に暮れる。

メモ

●鹵獲(ろかく)
戦場において勝利を得た部隊が敗れた敵から兵器などを獲得すること。

●潰走(かいそう)
戦いに負けた隊が四分五裂になって逃げること。

●鎧袖一触(がいしゅういっしょく)
よろいのそででちょっと触れたぐらいの簡単さで敵を負かすこと。

●隘路(あいろ)
大部隊の通過が困難な通路。

●時しも(ときしも)
ちょうどその時。

●天佑(てんゆう)
天のたすけ。

●小勢(こぜい)
少ない人数。

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