諸葛菜(しょかつさい) 三国志 篇外余録

あらすじ

著者吉川英治は諸葛亮の死をもって本作を完としている。
しかし諸葛亮死後の推移を知りたい読者のために、後章で解説する。

諸葛亮について
・忠誠一図な平凡人である。
・短所は、自身を厳しく律するがゆえに、人を責めるときにも非常に厳しい。
・几帳面さが日常生活にもあらわれ、近づきがたいものを感じさせる。魏や呉に比べて蜀に人物が少ないのは、こういうところに理由があったのかもしれない。
・兵舎を築く際は附近の空地に蕪(かぶ)の種をまく。この蕪は、春夏秋冬、いつでも成育するし、土壌をえらばない。その根から茎や葉まで生(なま)でも煮ても食べられる喰べられる。蜀の江陵地方の民衆のあいだでは、この蕪のことを「諸葛菜(しょかつさい)」とよんで食べられているという。

蜀が魏に勝ち抜きえなかった敗因。
・「漢朝復興」という大義名分をあげているが、民心は漢朝から完全に離れていた。漢朝の復興を心から歓迎していなかったからであろう。

メモ

●龍頭蛇尾(りゅうとうだび)
頭はりっぱな竜であるのに、尾は貧弱な蛇であるという意味から、転じて、始めは勢いがよいが、終わりはしりすぼみで勢いがなくなってしまうことをたとえていう)

●隆運(りゅううん)
勢い盛んな運命。

●敬仰(けいぎょう)
うやまいあおぐこと。

●余饒(こじょう)
あり余って豊かなこと。

●亀鑑(きかん)
手本。

●小祠(しょうし)
小さいやしろ。

●逼塞(ひっそく)
落ちぶれて世間から隠れ、ひっそり暮らすこと。

●知己(ちき)
自分の心をよく知ってくれる人。

●縄墨(じょうぼく)
規則。

●規矩(きく)
手本。

●峻酷(しゅんこく)
非常に厳しく、情けも容赦もないこと。

●痴(ち)
おろか。

●鶴氅(かくしょう)
鶴の羽毛を布に織り混ぜて作った衣。

●綸巾(りんきん)
青色の組紐で作った頭巾。

●聡慧(そうけい)
才知にすぐれること。

●重器(ちょうき)
重要な人物。

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