蜀山遠し(しょくざんとおし) 三国志(九)出師の巻

・関羽、捕らえられる

あらすじ

関羽の説得から戻ってきた諸葛瑾は、呉侯孫権に失敗したことを報告した。

一方、関羽の籠る麦城の兵は、五百から三百人に減っていた。傷病者が増え、脱走者がたえないのである。

麦城の北に連なる峰を越えれば、蜀に通じる道がある。
王甫と百余人を城に残し、関羽は残り二百の兵を率いて、蜀を目指し、麦城の北から打って出た。

途中、呉の大将朱然(しゅぜん)が現れ、関羽に襲いかかったが、関羽の敵ではなく、震えて逃げ出した。
関羽は朱然を追って、狭い小道に入って行った。
突然、上から岩が雪崩のごとく落ちてきて、関羽のまわりについていた七、八名の兵は岩の下敷きになった。

そこに呉将潘璋が現れ、関羽に兜をぬぎ降伏を促した。
関羽と潘璋は少しばかり討ち合ったが、すぐに潘璋は逃げ走り、関羽はそれを追った。

密林の小道へ入ったとき、関羽の馬は脚をからまれて、関羽は馬から落ちた。四方からは投げ縄が降ってきた。
潘璋の部下の馬忠は、熊手と刺股(さすまた)を使い、関羽を押さえて、捕らえた。

メモ

●閑話休題(かんわきゅうだい)
余談を打ち切って、本筋にもどる意を表す語。それはさておき。

●波濤(はとう)
大きな波。

●燎原の火(りょうげんのひ)
野原に放った火のように、勢いが強くて防ぎ止めようがないこと。

●遺孤(いこ)
遺児。

●権変(けんぺん)
その場に応じて適切な手段をとること。

●伏犠神農(ふっきしんのう)
伏犠と神農は、ともに上古の聖王。「三皇」に数えられることが多い。

●峨々(がが)
山や岩石などが険しくそびえ立っているさま。

●隘路(あいろ)
狭くて通行の困難な道。

●勢子(せこ)
狩猟に際して野獣を追い出したり包囲して一方に誘導する人々。

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