内容
次の日の早朝。徐庶(じょしょ)は劉備のもとへ向かった。
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徐庶は劉備に会い、単福(たんふく)は仮の名で、本当の名は徐庶であることを告げ、詫びた。そして母の手紙をとりだした。
「母の行く末を見終りましたら、かならず帰ってきますので、お暇をいただきたい」徐庶は言った。
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その日の夜。劉備は徐庶のために送別の宴を開いた。宴は夜明けごろまで続いた。
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孫乾(そんけん)は劉備に言った。
「徐庶をこの地に引きとどめれば、曹操は徐庶の母を斬るでしょう。そうすれば徐庶は曹操を打ち破ることに生涯をかけるでしょう」
「だまれ」劉備は、己が滅んでもそんな不義理はできない、と言った。
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その日の朝。徐庶の見送りのため、劉備は途中までともに行くことにした。
別れの際、劉備と徐庶はかたく手を握るが、劉備は手を放さなかった。
徐庶は劉備の手をはがし、駆け去った。
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しばらくすると、帰る劉備の後ろから徐庶が戻って来た。
徐庶は劉備に言った。
襄陽(じょうよう)の西二十里に隆中(りゅうちゅう)という村がある。その村に、諸葛亮という大賢人がいる。伏龍(ふくりゅう)とも呼ばれている。かならず諸葛亮を訪ねるように。
言い終わると、徐庶は許都(きょと)へ駆け去った。
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