■ 登場人物
左慈(さじ)…… 術を使う。曹操をからかったため、獄に入れられていた。
曹操(そうそう)…… 魏王。
許褚(きょちょ)…… 曹操の部下。
■ あらまし
(一)
王宮の千客、左慈の術に目をこすり、怪しむ。
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左慈、玄武池(げんぶち)に糸をたれ、松江の大きな鱸(すずき)を何尾も釣りあげる。
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曹操、鱸のつけあわせに薑(はじかみ)を求める。
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左慈、左の袂へ手を入れ、幾つかみもの薑を黄金の盆へ盛る。
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曹操、盆を取り寄せると、薑は「孟徳新書」の巻に変わっていた。
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左慈、曹操の側に進み出て、不老の千載酒(せんざいしゅ)を半分飲み、残りを曹操に献じる。
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曹操、その酒をふくむが、飲めたものではない。
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左慈、曹操の盃を奪い取り、堂の天井へ放り上げると、盃は一羽の白鳩となり、殿中を飛びまわる。
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左慈、いつのまにか姿を消す。
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許褚、屈強五百騎を率いて左慈を追う。
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許褚、前を歩く左慈を見つけるが、追いつくことができない。
(ニ)
許褚の兵、五百の矢を放つが、左慈は消え、羊の群れだけがいた。
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許褚、数百の羊をすべて討つ。
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羊を飼っていた童子、許褚に悪態をつき、家へ逃げ帰る。
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ある部下、童子も怪しいと矢を放つが、矢は地に落ちた。
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つぎの日。童子の親、王宮へわびに来た。羊はみな生き返り、牧場で遊んでいるというのだ。
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曹操、左慈の肖像を画かせ、各地へ配布。
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四、五百人もの左慈、各県郡から捕らえられた。
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曹操、城南の練兵場に破邪(はじゃ)の祭壇を設け、四、五百人の左慈の首を斬る。
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屍(かばね)の山から一塊の霧がのぼり、王宮の中へ流れ入る。
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四、五百体の左慈、王宮の中で約一刻、踊り続ける。
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曹操、その日の夜から体調を崩す。
■ 章題由来
「青い衣を着、藤の花を冠にさした怪奇な老人は、もう靴を鳴らして、城外の街をうろついている由です」
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