吉川三国志

吉川三国志

序(じょ)

内容 三国志は今から約千八百年前の古典である。 主要人物などには、著者吉川英治の解釈や創意を加えて書かれている。原本にない辞句や会話なども加えている。 三国志は正史ではない。しかし後漢(ごかん)の第十二代霊帝の代(西暦百六十八年頃)から、武...
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魏から――晋まで(ぎから――しんまで) 三国志 篇外余録

あらすじ 諸葛亮が亡くなってから、魏は平和気分におおわれる。↓大魏皇帝曹叡(そうえい)は、洛陽の大土木を命じ、人力と国費をかけて、庭園や別荘が造られる。↓魏帝曹叡を諫める公卿(くげ)もいたが、魏帝曹叡は聞く耳をもたない。↓蜀の延凞(えんき)...
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後蜀三十年(ごしょくさんじゅうねん) 三国志 篇外余録

あらすじ 諸葛亮亡きあとの蜀三十年を記す。 諸葛亮が亡くなった翌年、蜀の建興十三年。楊儀は官を剥奪され官嘉(かんか)に流される。丞相になれず、自身の位に不満をもっていた楊儀に不穏な行動に出る気配があったため。楊儀はそこで自らの命を絶つ。↓蒋...
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諸葛菜(しょかつさい) 三国志 篇外余録

あらすじ 著者吉川英治は諸葛亮の死をもって本作を完としている。しかし諸葛亮死後の推移を知りたい読者のために、後章で解説する。 諸葛亮について・忠誠一図な平凡人である。・短所は、自身を厳しく律するがゆえに、人を責めるときにも非常に厳しい。・几...
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松に古今の色無し(まつにここんのいろなし) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 霊車をひいた蜀軍は成都へ帰っていく。前方の山中に煙がみえる。蜀の楊儀(ようぎ)と姜維(きょうい)は物見を放つ。帰ってきた物見は言う。魏延が道を焼き払って、阻んでると。蜀軍は迂回して蜀の魏延がふさいでいる南谷のうしろへ出る↓成都には...
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死せる孔明、生ける仲達を走らす(しせるこうめい、いけるちゅうたつをはしらす) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 司馬懿は天文を観て、諸葛亮は死んだと狂喜する。そして蜀軍への総攻撃を命じる。しかし司馬師、司馬昭の二子は父司馬懿の興奮を諫める。司馬懿は夏侯覇に蜀陣の偵察を命じる。↓蜀陣の外を守るは魏延の部隊。魏延をはじめ、この部隊はまだ諸葛亮が...
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秋風五丈原(しゅうふうごじょうげん) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 魏の天文方より司馬懿のもとに報告が入る。三つの流れ星が諸葛亮の軍営の上をながれ、二つは還ったが、一つは諸葛亮の軍営に落ちたという。司馬懿は夏侯覇(かこうは)を呼び、命じる。諸葛亮は危篤の状態かもしれぬゆえ、五丈原を偵察せよと。↓こ...
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銀河の祷り(ぎんがのいのり) 三国志 五丈原の巻

あらすじ ある日、司馬懿は人を放ち、蜀の陣営を偵察させる。↓偵察から戻ってきた将は言う。・蜀の陣営に油断の気はなく、陣営の規律は守られている。・諸葛亮は深夜なのに陣中を見まわりしている。・諸葛亮は病気であるといわれていたが、それは蜀がまいた...
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女衣巾幗(にょいきんかく) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 葫芦谷(ころこく)での戦いのあと、蜀軍は渭南(いなん)に陣にまとめる。↓魏延(ぎえん)が激怒していると知り、諸葛亮は魏延を呼ぶ。↓魏延を言う。司馬懿とともに亡き者にしようとしただろうと。↓諸葛亮は「このような手違いがないように馬岱...
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水火(すいか) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 魏軍は蜀軍の輸送隊を襲うたびに兵糧や輸車を得て、連戦連勝となる。↓司馬懿は捕らえた蜀の武将を取り調べわかった。・諸葛亮は葫芦谷(ころこく)の西方十里ばかりの地点にいる。・谷にある城塞には数年間を支える兵糧が運び込まれている。↓魏軍...
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七盞燈(しちさんとう) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 洛陽からの厳命により魏の司馬懿は守ることのみに徹する。↓この間、諸葛亮は兵に田を作らせ、百姓を助ける。↓各地へ逃げていた百姓は、諸葛亮の徳を伝え聞き、この地方へ帰ってくる。↓地元の民に変装して蜀軍の状況を探っていた魏の司馬師が父司...
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豆を蒔く(まめをまく) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 魏の都洛陽(らくよう)に知らせが入る。蜀呉条約の発動により、呉軍が北上しているという。↓魏帝曹叡(そうえい)は以下を命じる。・司馬懿に使いを送り、固く守り、蜀と戦うな。・劉劭(りゅうしょう)を江夏(こうか)へ急派。・田予(でんよ)...
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ネジ(ねじ) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 魏の司馬懿は張虎(ちょうこ)と楽綝(がくりん)を呼び、命じる。蜀軍が兵糧輸送に使っている木牛流馬といわれている器械を奪うようにと。↓三日後、魏の張虎と楽綝は蜀の木牛流馬を奪って帰って来る。司馬懿は奪ってきた木牛流馬とまったく同じも...
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木牛流馬(もくぎゅうりゅうば) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 魏の鄭文(ていぶん)は蜀へ投降した。司馬懿(しばい)は秦朗(しんろう)という者を重用し、自身を軽んじ、身の危険を感じたからだという。↓祁山(きざん)の下の野では「鄭文を渡せと」魏将が叫んでいる。鄭文に聞くと、秦朗だという。諸葛亮は...
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具眼の士(ぐがんのし) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 蜀の内政を支えていた李厳は梓滝郡(しどうぐん)へ送られる。↓諸葛亮は内政に力を入れる。↓三年が経った。諸葛亮は蜀帝劉禅(りゅうぜん)に六度目の北伐を申し出る。↓数日後、蜀軍は成都を出る。↓蜀軍は漢中へ入る。この頃、蜀の関興(かんこ...
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木門道(もくもんどう) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 蜀の軍需増産を監督している李厳から書簡が届いた。呉は蜀との同盟を断って、魏と組む動きがあるというのだ。諸葛亮は直ちに全軍に総退却を命じた。 物見からの報告を受けた司馬懿は退却する蜀軍を追った。魏軍が木門道に近づいた。司馬懿に同行し...
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北斗七星旗(ほくとしちせいき) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 司馬懿は遠くを見ている。その先には、一両の車に、それを囲む二十八人の黒衣兵。先頭は北斗七星の旗を掲げ、赤装束の騎馬武者がいる。車にいるは諸葛亮だ。 司馬懿は攻撃を命じ、魏軍二千の鉄騎は諸葛亮の軍に襲いかかる。 諸葛亮の軍はうしろに...
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麦青む(むぎあおむ) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 諸葛亮は成都に帰り、ただちに百官の言動を調べる。↓百官に賄賂を与え、「諸葛亮に野心あり」との噂を広めさせた苟安(こうあん)はすでに蜀にはいない。↓諸葛亮は百官を正したのち、漢中へ向かう。↓蜀の建興九年、魏の太和(たいわ)五年。この...
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竈(かまど) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 蜀軍に敗れた魏軍は守ることに徹し、蜀軍は祁山(きざん)へ兵を収める。↓祁山へ兵糧を運んでいる苟安(こうあん)は十日も遅れて祁山に着く。↓諸葛亮は罰則のとおり苟安に極刑を命じる。↓それを聞いた楊儀(ようぎ)は慌てて止めに向かう。苟安...
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八陣展開(はちじんてんかい) 三国志 五丈原の巻

あらすじ 魏と蜀の軍は対陣し、そのまま秋を迎える。↓曹真は渭水(いすい)の 陣にて亡くなる。原因は諸葛亮の曹真に宛てた手紙だといわれる。↓秋八月。司馬懿は混元一気(こんげんいっき)の陣を、諸葛亮は八卦(はっけ)の陣をとる。↓司馬懿は三大将に...