五関突破(ごかんとっぱ) 孔明の巻

内容

関羽らは胡華(こか)の家を立ち、洛陽(らくよう)へ向かった。

途中に東嶺関(とうれいかん)という関所がある。曹操配下の孔秀(こうしゅう)が守っていた。
孔秀は通行手形を求めたが、関羽は持っていないため、通さなかった。
関羽は青龍刀を振り上げ、孔秀を斬り、東嶺関を通過した。

洛陽は太守韓福(かんふく)が守っている。
韓福は通行手形を求めたが、関羽は持っていない。
四方で銅鑼(どら)が鳴り、関羽を生け捕るため、韓福配下の孟坦(もうたん)が現れたが、関羽に斬られた。
韓福は門のわきから関羽をめがけて矢を放ち、矢は関羽の左ひじにあてた。
関羽は韓福を見つけ、その首を斬った。
市城を抜け、ふたたび山野へ出た。

数日後。日の暮れた頃、関羽らは沂水関(ぎすいかん)へかかった。ここは弁喜(べんき)が守っていた。
山には鎮国寺という古寺があった。
関羽は鎮国寺にひと晩の宿をお願いしようと訪問したところ、僧たちが出迎えて歓待した。
長老の普浄(ふじょう)和尚と関羽が話していると、弁喜は関羽を講堂へ招いた。
普浄が目の動きで何かを告げていることに、関羽は小さくうなずいた。
廻廊の外や祭壇の陰から殺気を関羽は感じ、前に居る弁喜からは凶悪な気が満ちていた。
関羽は青龍刀で弁喜を斬った。
隠れていた者は十方へ逃げ散った。
関羽、甘(かん)夫人と糜(び)夫人は夜が明けないうちに鎮国寺を立った。
夜が明ける頃。関羽らは沂水関を越えていた。

滎陽(けいよう)の太守王植(おうしょく)は門を開いて関羽らを出迎えた。
王植は従事官胡班(こはん)を呼んで、はかりごとを命じた。
夜も二更になる頃。胡班は千騎を従え、関羽の客舎の周りに投げたいまつを準備した。あとは号令をかけるだけだ。
客舎の一部屋に明かりが見えたので、胡班はその部屋を伺うと、関羽に見つかった。
胡班は逃げずに、名を名乗った。
関羽は一通の書簡を取り出し、胡班へ渡した。それは父胡華(こか)からのものであった。
胡班は王植のはかりごとを関羽に打ち明け、一刻も早くここを出るようにと言った。
王植は兵を従え、城門で待ち構えていたが、関羽に斬られた。

数日が経ち、関羽らは滑州(かっしゅう)の市城へ入った。
「黄河の渡口(とこう)には夏侯惇(かこうじゅん)配下の秦琪(しんき)が守っているぞ」太守(たいしゅ)劉延(りゅうえん)は言った。
関羽は車とともに秦琪(しんき)の陣へ向かった。
秦琪(しんき)は通行手形を持っていない関羽を止め、襲いかかった。
関羽は秦琪を斬った。
一艘の船を奪った関羽は、河南(かなん)の岸を離れた。北の岸は河北(かほく)であった。

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