尉霊大望(いれいたいぼう) 三国志 出師の巻

・関羽・張飛の仇を討つ

あらすじ

蜀と呉の激戦が繰り返されていたある日、夜になっても、関興だけが帰ってこなかった。
劉備は関興を探すよう命じた。

関興はどうしていたかというと、激戦の中、父関羽を殺した潘璋(はんしょう)を見つけ、逃げ走る潘璋を追って、山の中まで入っていった。しかし、潘璋を見失ってしまい、道に迷って闇夜の山中をさまよっていたのだった。一軒の山家から灯がもれていたので、立ち寄って一飯一宿の恩を乞うと、関興は驚いた。正面の小さい壇に、亡父関羽の画像が祀(まつ)られていたのである。
山家の老翁は、関興が関羽の子だと知ると、酒を出して歓待した。

深夜、山家の扉を烈しく叩く者がいた。朝まで母屋を貸してくれというのだ。その声の主は、呉の大将潘璋だと名乗った。
関興は、外へ躍り出るや否、潘璋に飛びかかり、首を斬り、関羽を討った褒美として与えられていた関羽の偃月刀を潘璋から奪い返した。

山家の老翁に礼をいい、蜀の本陣に戻る関興は、途中、潘璋の部下馬忠とぶつかった。
馬忠は関羽の仇の片割れである。
関興と馬忠が刀を合わせていると、関興を探しにきた張苞の一軍が現れた。
馬忠は慌てて逃げた。

張苞と関興は蜀の本陣へ帰り、劉備に潘璋の首を献じた。

一方、蜀に連戦連敗の呉軍にいた糜芳(びほう)と傅士仁(ふしじん)は、馬忠の首を持って、劉備に許しを請うことを決め、実行した。
この二人は、蜀を裏切って、関羽を呉に売った者である。
当然、このようなことで劉備は二人を許すはずはない。
二人は関興によって、首を刎ねられた。

その頃、張飛の仇である范疆(はんきょう)と張達の二人は、呉の建業から檻車(かんしゃ)に乗せられ、程秉(ていへい)が使者として、劉備のもとへ向かっていた。蜀との和平を結ぶためである。
程秉(ていへい)は、范疆(はんきょう)と張達の二人と、沈香の銘木で作った箱を差し出した。箱のなかには張飛の首が入ってる。
劉備は張苞に范疆と張達の二人を与えた。
張苞は二人を斬り殺した。
呉の使者程秉が和平を申し出ると、劉備は、呉を討ち、魏を平げ、天下をひとつにすると返した。

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