火中の栗(かちゅうのくり) 赤壁の巻

内容

黄蓋(こうがい)が現れ、諸葛亮(しょかつりょう)に対する無礼を詫び、主君孫権(そんけん)のいる奥へと案内した。

大堂に案内されると、孫権が迎えに出たので、諸葛亮はひざまずいて再拝した。
諸葛亮は孫権を一目見て、説得するには、怒らせた方がいいと判断した。

孫権は諸葛亮に曹操(そうそう)の兵力について、ひととおり質問した。
「呉(ご)は戦うべきか否か」孫権は問うた。
「父兄の志を継ぐならば、主君劉備(りゅうび)と同盟し、曹操との国交をお断ちなさい。またご自身があきらめておいでなら、曹操に降伏するのです」諸葛亮は言った。
「なぜ劉予州(りゅうよしゅう 劉備)にも降服をすすめないのか」孫権は言った。
「劉予州は、王室の宗親。どうして曹操ごときに降伏しましょうや。もし主君劉備へ降伏をすすめたら首を斬られます」諸葛亮は言った。
孫権は顔色を変えた。席を起ち、後閣へ立ち去った。

魯粛(ろしゅく)は諸葛亮の無礼なふるまいを諫めた。
「気量の狭いおひとだ。気量を広くもって、曹操を倒す良策を問われれば、申してもよい」諸葛亮は言った。

「諸葛亮には曹操を倒す大策をもっています」魯粛は孫権を追いかけて言った。そして、再度、諸葛亮に会うようにすすめた。
孫権はふたたび諸葛亮の前に姿をみせた。
諸葛亮は、曹操軍の弱点と戦いの見とおしを述べると、孫権は兵馬の準備を命じた。

開戦だと聞いた張昭らは孫権に撤回を申し出た。
孫権は張昭らに責めたてられたため、「考えておく」と言い残し、奥へ急ぎ足で隠れた。

食事もとらずに考え込んでいる孫権へ呉夫人は言った。「兄孫策(そんさく)の遺言を忘れましたか。内事ば張昭に問え。外事は周瑜(しゅうゆ)に計るべし」
孫権は書を大将に持たせ、鄱陽湖(はようこ)にいる周瑜のもとへ急がせた。

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