内容
百万の曹操(そうそう)軍は、河南(かなん)の宛城(えんじょう)まできていた。
荊州(けいしゅう)からの降伏の使いである宋忠(そうちゅう)は宛城で曹操に会った。
「劉琮(りゅうそう)は荊州の太守であることを保証する」曹操は言った。
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宋忠は荊州へ帰る途中に、警備していた関羽(かんう)に捕らえられた。
荊州は曹操に降参したと聞いた関羽は、宋忠を連れて新野(しんや)へ向かった。
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事実を知った劉備は、宋忠を城外へ放った。
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曹操軍先鋒隊が博望坡(はくぼうは)まで迫っている、と早馬が劉備らに知らせた。
諸葛亮(しょかつりょう)は諸将へ策を命じた。
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曹操は宛城(えんじょう)にいて、情勢を見守っていた。
曹仁(そうじん)・曹洪(そうこう)・許褚(きょちょ)がいる先鋒隊は、新野の郊外まで迫っていた。
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山から峰に沿って敵が陣を取っており、われらの姿を見るや、山では青旗を振り、峰では紅旗を振って、連絡を取り合っている様子です、と曹操軍の偵察隊は報告した。
許褚(きょちょ)は三千の兵を率いて、静かに前進し、敵が旗を振っている様子をみた。
兵をその場に留めて、許褚ひとり戻って、曹仁に報告した。
「何のためらうことがあろう」曹仁は言った。
許褚は戻って、三千の兵ととも進軍した。
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許褚隊は警戒しながら進むが、敵に遭遇することはなかった。
陽は沈み、月がのぼり始めた頃。許褚は峰の頂上に人影をみた。劉備と諸葛亮が月をみながら、酒を酌み交わしていたのだ。
許褚隊の三千の兵は峰に向かって這いのぼると、巨岩大木が転がり落ちてきた。許褚はあわてて兵を退かせた。
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停滞していた許褚隊に、曹仁・曹洪の本軍は合流した。
「前進あるのみ」曹仁は言って、曹操軍は新野の街まで進んだ。
城下にも街にも、人の姿は見えなかった。
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曹仁ら首脳は城に入り、酒を飲んでいた。
「敵の火攻めだっ」曹仁らが外に出たときには、城中は黒煙につつまれていた。
東門だけが燃えていなかったため、数万という人馬が東門へ殺到した。
火中から逃れた曹仁らは、そこで待っていた劉備軍趙雲(ちょううん)の隊に攻撃を受け、うしろへ戻ると、劉備軍劉封(りゅうほう)と糜芳(びほう)の隊が前を立ちふさいでいた。
曹仁ら曹操軍の兵は白河(はくが)のあたりまで逃げ走った。
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曹仁らは一息ついた。馬は水をあたえられていななき、兵たちも河の水を口へ運び、声をあげた。
その時、白河上流から洪水のような波が押し寄せ、曹操軍数万の兵をのみ込んだ。
洪水のような波は、関羽が白河上流に土嚢(どのう)を築いて流れをせき止めており、下流での兵馬のいななきを合図に、土嚢の堰(せき)をきったために起こったものであった。
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