七歩の詩(しちほのし) 三国志 出師の巻

・曹丕、曹植を追放する

あらすじ

三男曹植へ赴いた使者が戻ってきて、曹丕に報告した。
曹植は、丁儀、丁廙(ていい)といった寵臣と前の夜から酒を飲んでおり、魏王の使者が来ているのに、座ったままで、礼をわきまえない。
丁儀と丁廙は、曹植に問罪の使いをよこすとは何事だ。曹丕は暗君なのかと罵ったというのだ。

許褚は曹丕の命により、曹植、丁儀、丁廙を捕らえて、鄴(ぎょう)の魏城へ戻ってきた。

曹丕の前に出された三人。丁儀と丁廙は曹丕の命で、首を刎ねられた。

そのとき、曹丕の足元に母である卞氏(べんし)がすがりついた。
曹植はその様子を蒼ざめた顔をでみている。
母卞氏は子曹丕を偏殿(へんでん)の陰へ連れて行き、子曹植の命乞いをした。
曹丕は母卞氏に約束をした。

数日後、華歆(かきん)は曹丕のもとを訪れ、曹植を除くための進言をした。
曹丕はすぐに曹植を呼び出した。

曹丕は曹植に言った。「曹植の詩は、詩文の名家が代作しているとの噂がある。そこで、その才を試す。室内を七歩あゆめ。その間に、一詩を作らなければ、八歩目に、汝の首は床へ落ちているものと思え」
曹植は、同母兄弟である曹丕と曹植を、豆と豆がらにたとえた詩を作った。
曹丕も群臣もみな泣いた。
曹丕は曹植を安郷(あんきょう)侯に格下げし、曹植は魏王宮から去った。

メモ

●臨淄侯(りんし)
青州に属する県。戦国時代の斉国の首都であった。

●讒者(ざんしゃ)
人をおとしいれようとして、事実に反する悪口を言う者。

●薨去(こうきょ)
皇族・三位(さんみ)以上の人が死亡すること。

●一類(いちるい)
同じ仲間。

●一眄(いちべん)
ひとにらみすること。

●佞臣(ねいしん)
主君にこびへつらう家来。

●貶する(へんする)
地位または身分をさげる。

●悄然(しょうぜん)
元気がない様子。

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