鉄鎖の陣(てっさのじん) 赤壁の巻

内容

魏(ぎ)の水軍総大将毛玠(もうかい)と于禁(うきん)は曹操(そうそう)に、兵船を鎖でつなぎ終わったことを報告した。
即日。曹操はこの大艦隊を呉(ご)へ向けたが、この日は風浪が激しく、烏林(うりん)の湾口(わんこう)に大艦隊をおいた。

「船がつながれているので、敵に火攻めをされると、一大事になるのではありませんか」と、程昱(ていいく)は曹操に尋ねた。
「いまは十一月。西北の風がふく季節だが、東南の風が吹くことはない。わが陣は北岸にあり、呉は南にある。敵がもし火攻めを行えば自ら火をかぶるようなものだ」と、曹操は笑った。

風浪が鎮まるのを待っていたとき、焦触(しょうしょく)と張南(ちょうなん)は序戦の先陣に名乗り出た。

「敵の船が来たっ」と呉軍の物見の兵が叫んだ。
韓当(かんとう)と周泰(しゅうたい)は十数艘の牛革船(ぎゅうかくせん)を率いて、敵船へ向かった。

呉の周泰は、槍を投げて魏の焦触を刺し、敵の船に乗り込んで魏の張南を斬った。
魏の兵船は逃げた。

敗戦の知らせを受けた曹操は全艦艇を呉岸へ向けて進めたが、突然、狂風が吹き、水煙が立ち、曹操の乗っている旗艦の旗竿が折れた。
魏軍の全艦艇は、烏林の湾口へ引き返した。

魏軍を退けた竜巻は、呉の陣営にも暴れにきた。
大きな司令旗の旗竿が二つに折れた。
周瑜は旗竿の下に押しつぶされ、気を失った。

関連記事

次の章「孔明・風を祈る(こうめい・かぜをいのる)」へ進む

前の章「月烏賦(つきよがらすのうた)」へ進む

トップページへ進む