不倶戴天(ふぐたいてん)

第七巻 望蜀の巻 第一八二回 不倶戴天

あらすじ

曹操は劉備が蜀を攻める準備をしているとの報告を聞く。

陳群ちんぐんは曹操に献策する。
「呉を攻めるのがよいでしょう。なぜならば、呉は玄徳へ救援を求めるにちがいありません。もし玄徳が入蜀に没頭し、呉を見捨てれば、呉を手に入れるのです。魏と呉の対戦なら勝利は明らかです」

曹操は兵三十万を呉攻めに向かわせ、合淝がっぴの城を守る張遼ちょうりょうには呉攻めの先鋒を命じる。

一方、呉は曹操軍南下の知らせを受け、劉備に救援を求める。

諸葛亮は返書する。
「魏軍が来るならば、孔明が直ちに撃退します」

諸葛亮の献策を用いて、劉備は西涼せいりょう州の馬超ばちょうへ書簡を送る。

一方、馬超のもとに許都きょとから馬岱ばたいが逃げ落ちてきた。
「騰とう将軍が曹操に斬られました」

馬超が泣き崩れているところへ劉備の書簡が届く。
「曹操は父の仇敵である。君は涼州より攻め上れ、劉玄徳は北上する」

あくる日、馬騰と親友だった韓遂かんすいが曹操の使者から受け取ったという書簡を見せる。
「馬超を生け捕れば西涼侯に封じる」

韓遂は馬超の覚悟を問う。
「曹操を討つ気があるのか」

馬超は曹操の使者を斬り、その首を韓遂へ届ける。

韓遂は馬超の軍に合流。潼関どうかんを攻める。

長安の守将鍾繇しょうようは潼関を防ぎにかかるが、馬岱に蹴散らされ、長安の城へ逃げ籠る。

龐徳の献策を用いて、馬超は長安の城の囲みを解き、数十里陣を引く。

馬超が攻めてこないので、長安の軍民たちは城門を開き、水や薪、食糧などを運び込む。

急に馬超が攻撃にでると、ただちに軍民は城内へ戻り、城門を閉じた。

日没の頃となり、城西の山から火が出る。
数日前より龐徳らが軍民にまぎれて城内に潜り込んでいたのだ。

西門は内から開かれ、西涼軍が長安を占領する。

鍾繇は、東門から逃げて潼関に入り、許都へ救援を求める。

曹操は驚愕し、呉攻めを見合わせる。そして曹洪そうこうと徐晃じょこうをすぐに潼関へ向かわせ、およそ十日のあと、曹操も軍を率いて出発する。

潼関に着いた曹洪と徐晃は曹操の軍が来るのを待つ。

西涼軍は潼関への力攻めをやめ、大声をたてて悪たれを放つ。

徐晃が歯がみしている曹洪を諫める。
「十日の間は固く守れとの丞相のお言葉を忘れたか」

しかし曹洪は我慢できずに、ついに西涼軍を追いまくる。徐晃もやむなく後から続いて出る。

すると馬岱があらわれ、龐徳ほうとくが曹洪と徐晃の退路を断ち、馬超と韓遂が関門を責め立てている。

潼関の留守を預かっていた鍾繇は逃げだし、曹洪と徐晃は潼関を捨てて逃げる。しかし馬超らは曹洪らを追撃する。

曹洪と徐晃は曹操軍先鋒に合流し、助けられる。

曹操は曹洪と徐晃を叱責する。
「十日の間は戦うなという命令をなぜ破ったのだ」

徐晃は自己弁護する。
「お止めしたのですが、洪将軍が頑としてきかないのです」

曹操は激怒し、曹洪を斬ろうとする。
「軍法を正さん」

「それがしも同罪」と徐晃は言い、皆が命乞いしたので、曹操は斬罪を猶予する。

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