吉川三国志

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鬢糸の雪(びんしのゆき) 三国志(九)出師の巻

・関羽、敗走す あらすじ 魏の徐晃から荊州が落ちたと聞いた関平は、混乱してしまい、堰城(えんじょう)へ一旦戻ることにした。しかし堰城(えんじょう)は黒煙がたっている。逃げてきた味方の兵によると、徐晃の兵によるものだという。関平は、廖化(りょ...
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荊州変貌(けいしゅうへんぼう) 三国志(九)出師の巻

・傅士仁と糜芳、呉へ降る あらすじ 荊州の中央を占領した呉であるが、地方には蜀将が残っている。公安地方の傅士仁(ふしじん)と南郡の糜芳(びほう)である。虞翻(ぐほん)は、幼少から傅士仁とは友であったため、公安地方の無血占領を孫権に申し出て、...
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笠(かさ) 三国志(九)出師の巻

・呉、荊州を獲る あらすじ 荊州の本城は呉軍に簡単に落ちた。原因はふたつある。ひとつは、陸口の守りが呂蒙から陸遜(りくそん)に代わった。そこで荊州の守りは容易だと考えた関羽は、魏の曹仁が籠る樊城(はんじょう)攻略に兵力を集中させたことだ。も...
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呂蒙と陸遜(りょもうとりくそん) 三国志(九)出師の巻

・呉軍、荊州を攻める あらすじ 陸口の守りは、呂蒙に代わって、陸遜(りくそん)が赴任した。当時の陸遜は、呂蒙より十幾歳も年下であり、無名であった。陸遜は、礼物に書簡をのせて、関羽へ使いを立て、新任の挨拶を送った。関羽は、これで陸口に対する荊...
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建業会議(けんぎょうかいぎ) 三国志(九)出師の巻

・呉、荊州攻めを決す あらすじ 関羽の腕の手術を終えた華陀(かだ)は、次の日、関羽を見舞いに来た。関羽の腕は痛みもなく、昨夜は熟睡できたという。華陀は「怒気(どき)を発することは禁物です」と告げると、百金も手に取らず、小舟に乗って、江上へ去...
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骨を削る(ほねをけずる) 三国志(九)出師の巻

・関羽、華陀の手術を受ける あらすじ 大将于禁(うきん)、副将龐徳とする魏軍を破った関羽軍は、樊城(はんじょう)攻略も時間の問題であった。しかし関羽は戦に出られる状態ではなかったため、関羽軍は動かなかった。龐徳が放った矢傷の痛みを、人前では...
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七軍魚鼈となる(しちぐんぎょべつとなる) 三国志(八)図南の巻

・龐徳、関羽に敗れる あらすじ 魏軍が陣容を変えたという知らせを受けた関羽は、高地へ登った。そして案内者に、ここの地形について聞いたのち、たくさんの船筏を作るように命じた。 秋八月となり、長雨が降り続いた。 龐徳の元に、督軍の将、成何(せい...
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関平(かんぺい) 三国志(八)図南の巻

・龐徳、関羽を射る あらすじ 曹仁が籠っている樊城(はんじょう)を取り囲んだ関羽は、魏の援軍数万騎が迫っていると報告を受けた。関羽軍と先鋒龐徳の軍は対峙し、関羽と龐徳はぶつかった。しかしなかなか決着がつかない。蜀の関平は、年をとった父関羽の...
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生きて出る柩(いきてでるひつぎ) 三国志(八)図南の巻

・龐徳の軍、柩を担ぐ あらすじ 曹仁が立てこもる樊城(はんじょう)は、関羽軍に取り囲まれてしまった。曹操は、于禁を大将に指名し、曹仁を助けるよう命じた。相手は関羽である。于禁は先陣にあたる副将を一人つけてほしいと願った。すると、龐徳(ほうと...
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烽火台(のろしだい) 三国志(八)図南の巻

・関羽、荊州を出る あらすじ 関羽を取り込んで、呉と蜀で魏に対抗するという諸葛瑾の策は、失敗に終わった。諸葛瑾はありのままを孫権に報告をすると、孫権は群臣を集め、荊州を攻めると宣言した。参謀の歩隲(ほしつ)は、それに反対した。魏が荊州を攻め...
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漢中王に昇る(かんちゅうおうにのぼる) 三国志(八)図南の巻

・劉備、漢中王となる あらすじ 武力によって魏を撤退させ、漢中を治めた蜀。諸葛亮は漢中王に即位するよう劉備に薦めた。しかし劉備は頑なに拒否した。国賊である曹操の真似をすれば、国賊曹操を討つ大義がなくなってしまうというのだ。しかし諸葛亮や諸将...
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鶏肋(けいろく) 三国志(八)図南の巻

・楊修、曹操の怒りを買う あらすじ 次男曹彰と兵五万が加わった曹操は、斜谷(やこく)で蜀軍との再戦を決めた。 劉備は諸将を集めて言った。「曹操は、わが子曹彰を自慢するために、先鋒にするだろう。この中の誰が曹彰の首を獲ることができるだろうか」...
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次男曹彰(じなんそうしょう) 三国志(八)図南の巻

・曹操と劉備、漢水でぶつかる あらすじ 曹操にとっては予想外な損害となり、遠く南鄭(なんてい)まで退陣し、軍の増強を急いだ。この辺の地理に詳しいことから曹操に仕えることとなった王平は、徐晃(じょこう)の副将として、漢水の岸に立ち、策を考えて...
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趙子龍(ちょうしりゅう) 三国志(八)図南の巻

・黄忠、北山の兵糧倉を焼く あらすじ 老将黄忠は、夏侯淵の首を持ち、葭萌関(かぼうかん)にいる劉備に見せた。劉備は喜び、黄忠を征西大将軍に任じ、その夜、大酒宴を開いた。そこへ、前線を守る大将張著(ちょうちょ)から知らせが入った。「曹操が二十...
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一股傷折(いっこしょうせつ) 三国志(八)図南の巻

・夏侯淵、死す あらすじ 出撃せずに、堅く守るがよいという張郃(ちょうこう)に、夏侯淵は聞く耳を持たない。先手を志願した夏侯尚は、三千余騎を率いて、山を下って行った。その頃、黄忠は、定軍山を何度となく攻めたが、山道は険しく、魏軍は固く守って...
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絶妙好辞(ぜつみょうこうじ) 三国志(八)図南の巻

・黄忠の扱い方 あらすじ 黄忠では、魏軍夏侯淵には勝てないという諸葛亮の言葉に、老将黄忠は納得いかなかった。何度となく許しを乞うたため、ついに諸葛亮も折れて、法正を監軍として同伴させ、何事も合議によって決めることを条件に認めた。黄忠は喜び、...
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老将の功(ろうしょうのこう) 三国志(八)図南の巻

・老将黄忠、葭萌関の救援に向かう あらすじ 郭淮(かくわい)の進言により、命拾いした張郃(ちょうこう)は、雪辱を果たすため、五千余騎を従えて、葭萌関(かぼうかん)に馬を進めた。葭萌関を守っているのは、蜀の孟達と霍峻(かくしゅん)の両大将であ...
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敗将(はいしょう) 三国志(八)図南の巻

・張飛、張郃を破る あらすじ 張飛を真ん中に、左右に魏延(ぎえん)と雷同を置いた陣形は、魏軍を追いまくった。張郃(ちょうこう)が構えた三か所の陣は、打ち破られ、三万余騎の兵力は二万余人を失って、張郃(ちょうこう)は、瓦口関(がこうかん)へ逃...
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陣前公用の美酒(じんぜんこうようのびしゅ) 三国志(八)図南の巻

・張飛、張郃軍の前で酒宴を開く あらすじ 漢中からきた魏軍は、総大将に曹洪、その下に張郃(ちょうこう)をつけ、蜀との境で、蜀軍の侵入を防いでいた。魏軍の兵の数は五万である。蜀軍は、下弁方面から馬超が、巴西からは張飛が、漢中をうかがっていた。...
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御林の火(ぎょりんのひ) 三国志(八)図南の巻

・金褘、耿紀、韋晃、吉邈、吉穆の反乱 あらすじ 金褘らは、決行の日を正月十五日と決め、その日となった。 王必の陣営では、酒宴がひらかれており、たいへんな賑わいである。王必に招かれていた金褘(きんい)は、ひどく酔ったふりをして、酒宴から抜け出...