内容
呉(ご)軍に大敗した結果を聞いた曹操(そうそう)は蔡瑁(さいぼう)と張允(ちょういん)を呼んだ。
蔡瑁と張允は曹操の前で百拝し、陳謝した。
曹操は今回の敗戦を許し、二人に水軍の再整備を任せた。水上での戦い方がわからぬゆえに、二人にまかせるしかなかった。
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上流にあたる北方の天が夜な夜な真っ赤であった。
周瑜(しゅうゆ)は魯粛(ろしゅく)に尋ねると、曹操が構築させた要塞のかがり火が雲に映っている、と言った。
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ある夜。周瑜は一つの船に、魯粛、黄蓋(こうがい)など八名の大将を乗せ、曹操軍の本拠地を偵察にでた。
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周瑜は曹操軍の要塞を見て、舌を巻いて驚いた。
「荊州(けいしゅう)にいた蔡瑁と張允の指揮です」魯粛は言った。
「蔡瑁と張允の命を奪わないと安心できない」周瑜は言った。
偵察を続けていると、曹操軍の要塞から一陣の兵船が向かってきたので、周瑜の船はいち早く逃げた。
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船を取り逃がしたと聞いた曹操は、こんなことで呉を破ることができるのか、と嘆いた。
侍列の中から蒋幹(しょうかん)が前に出て、周瑜とは旧友であるため、説得して味方に加える、という。
曹操は蒋幹を呉の陣へ向かわせた。
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「旧友が訪ねてきた」と聞いた周瑜は、曹操の幕賓蒋幹だと直感し、諸大将へ計りごとをささやいた。
周瑜は蒋幹を酒宴の席へ誘い、大いに酌み交わした。
「誰かがこの周瑜を説得しにきたとしても、わが心は金鉄のように変わらない」周瑜は笑って言い、それを聞いた蒋幹の体は震えた。
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夜は更け、周瑜は蒋幹とともに寝所へ転がり込んだ。すぐに周瑜はいびきをかいて眠った。
蒋幹は、卓上からこぼれ落ちている書簡のなかから、張允からの機密文書を見つけた。
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窓のあたりがほのかに明るくなりかけた頃。蒋幹は厠(かわや)へ行くふりをして外へ出て、急いで江岸の小舟へ飛び乗った。
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蒋幹は、周瑜説得が失敗に終わったことを曹操に報告し、合わせて、周瑜の寝室から奪った書簡を差し出した。この書簡は、蔡瑁と張允が呉と共謀していることを示し、故主劉表(りゅうひょう)の復讐のために曹操の首を斬る、と書かれていた。
曹操は激怒し、蔡瑁と張允は曹操の前に連れてこられた。
「偽書だ。敵の謀略だ」例の書簡をみた張允は叫んだ。
蔡瑁と張允の首は斬られた。
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