内容
呉軍は黄祖(こうそ)がいる江夏(こうか)城を攻めた。
この土地に詳しい甘寧(かんねい)は東門の外で黄祖を待ち伏せしていた。
江夏城に黒煙があがり、東門から黄祖は駆け出してきた。
すると、道のかたわらから呉軍の程普(ていふ)が現れ、黄祖を襲った。
甘寧はあわてて一矢を放ち、黄祖の背を射た。
程普と甘寧はそろって黄祖の首を孫権に献じた。
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孫権は江夏の占領地を放棄し、呉の本国へ帰った。
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呉へ護送されていた黄祖配下の蘇飛(そひ)は、呉軍が凱旋してきたと知り、甘寧宛の手紙を書いて、手渡しを人に頼んだ。
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孫権は父兄の墓へ戦勝の報告をし、その後、宴を開いた。
甘寧は孫権の足元にひざまずき、蘇飛の助命を願い出た。命を助けてくれた恩が甘寧にあったのだ。
孫権はそれを許した。
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宴の途中、凌統(りょうとう)は甘寧に飛びかかった。建安(けんあん)八年の黄祖攻めの際に、凌統の父凌操(りょうそう)は甘寧に命を奪われていたのだ。
「ひかえろっ」孫権は凌統をうしろから抱きとめて叱りつけた。そして続けた。
「孫権に免じて、一切のうらみは忘れてくれ」
凌統は床にうつ伏せになり、声をあげて泣き続けた。
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一方、新野(しんや)にいる劉備のもとに、荊州(けいしゅう)から迎えの急使が来た。
劉備は、諸葛亮、張飛と兵五百を率いて、荊州へ向かった。
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「わしの亡きあとは、この荊州を継いでくれないか」劉表(りゅうひょう)は言ったが、劉備は受け入れなかった。
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劉備らは城下の旅館に入ったところ、劉表の嫡子劉琦(りゅうき)が来た。
「城にいると、私はいつ害されるかわかりません。助けてください」劉琦は言った。蔡氏(さいし)は、実子劉琮(りゅうそう)を劉表の後継者にするために、劉琦の命を奪おうとしている、というのだ。
劉備と諸葛亮は、一家の内事であるため、口にすることを控えた。
劉琦は肩を落とし、帰ろうとすると、劉備は劉琦になにかをささやいた。
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翌日。劉備は諸葛亮に、昨日の訪問のお礼を劉琦に述べてきてほしい、と頼んだ。
諸葛亮は劉琦の館へ出向くと、稀書があるので教えを仰ぎたい、と劉琦は閣の上へ諸葛亮を誘った。
「死をまぬがれる良計をお聞かせください」劉琦は涙をながしながら諸葛亮の足元にひざまずき、百拝した。
諸葛亮は閣を下りようとすると、梯子は外されていた。
劉琦は剣を抜き、自分の首をはねようとしたため、諸葛亮は押しとどめて、良計を教えた。
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数日後。荊州の劉表から迎えの使いが来たので、劉備は登城した。
「嫡男の劉琦が江夏の守りにやってくれと言ってきた」劉表は言った。
「至極、結構ではありませんか」劉備は言って、新野へ帰った。
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