鳳雛・巣を出ず(ほうすう・すをいず) 赤壁の巻

内容

曹操そうそうは群臣をあつめて、蔡和さいか蔡仲さいちゅう闞沢かんたくからきた書簡の内容を評議にかけた。
蒋幹しょうかんは「へ渡り、真実か否かを確かめて参ります」と言った。

蒋幹は呉へ上陸したが、呉の中軍では龐統ほうとう周瑜しゅうゆと話し込んでいた。
周瑜は「どうしたら曹操の大軍を撃破できましょうか」と問うと、「火計一策」と龐統は答えた。ただし、曹操軍の兵船を一か所に集め、鎖でつないでおく必要がある、と加えた。
周瑜の部下の者が、江北こうほくの蒋幹が訪ねて来た、と知らせたため、それを機に龐統は帰った。

蒋幹は周瑜の前に案内された。
周瑜は「先頃は寝室から大事な書簡を盗んだうえに、今度は呉へ投降してきておる蔡和と蔡仲に対して、何か策を打とうという魂胆であろう」と言い、蒋幹は西山せいざんの山小舎に監禁された。

ある日の夜。蒋幹は番兵の隙を見て山小舎から脱け出した。
彼方の林の中に燈火ともしびが見えたので、蒋幹は近づいてみると家があり、なかに龐統がいた。
蒋幹を見た龐統は、なかに迎え入れた。
「呉を去って、曹操のところへ行きませんか」と蒋幹は龐統を誘った。
龐統は蒋幹とともに呉を脱した。

曹操は龐統を迎え入れ、もてなした。

次の日。曹操は龐統を連れて丘へ登った。
龐統は、軍の布陣に欠点はない、と言い、曹操は顔をほころばせた。

この日も歓待の宴は開かれたが、龐統は室外に出ては戻ってくるということをたびたび繰り返した。
曹操は龐統に声をかけると、「水に弱く、波に揺られて疲労しました」と龐統は言った。
曹操軍の兵も船上の生活になれず、病人が続出していたため、曹操は龐統に「何かよい方法はありませんか」と尋ねた。
龐統は「大小の船を集め、鉄の鎖で固くつなぎ、渡り橋を交互にかければ、平地のように歩けます。病人はいなくなりましょう」と言った。
次の日。曹操は龐統の助言を実行に移した。

ある日。龐統は曹操と軍事の話しをしている時、「周瑜を恨んでいる者は大将だけでも五本の指では足りません。それがしが彼らを説得すれば、曹操殿のもとへ投降するでしょう」と言った。

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