第七巻 望蜀の巻 第一八四回 火水木金土
あらすじ
曹操は曹仁を築造奉行に任命し、仮城の工事を急がせる。
仮城の工事が八分ほど完成すると、西涼軍の馬超は河を渡り、油弾を投げて仮城を焼いた。
曹操は智者荀攸の献策を用い、人夫三万を加えて地を掘らせる。地下城を建築するためだ。
工事は約一か月も続いたが、西涼軍からの攻撃はない。
その間、渭水の水は日ごとに減っていった。
ある日の夜、豪雨となり、あくる日の朝、渭水の上流から激波が押し寄せてきた。
半月も前から西涼軍が堰を作って、河水を溜めていたのである。
土の地下城は崩壊した。
九月に入り、北国のため、雪が降りだす。
そんなある日、曹操の陣に夢梅と名乗る者が訪ねる。
「なぜ火水を防ぐ城を築かないのか」
ある日、北風が吹き出した。曹操は夢梅の献策を実行に移す。
昼から四万人の人夫を動員し、夜明け近くになると土城はほぼ完成した。
曹操は号令する。
「城へ水をかけろ」
一方、西涼軍は一夜にして対岸に氷の城が現れたため、偵察に向かう。
河を渡ると、曹操は馬を進めて待っている。
そばには馬超をにらみつける武将がいる。
この男が、韓遂が話していた許褚であることを知ると、馬超は軍を引いた。
その日、許褚は馬超へ決戦状を送る。
夜が明けるや、馬超が押し寄せ、許褚と戦う。
戦うこと百余合、しかし勝負がつかない。
曹操は退鉦を打つ。
許褚に万一があっては、全軍の士気にかかわるとみたからだ。
これをきっかけに、龐徳と馬岱の軍が曹操軍を強襲する。
曹操軍は氷城に逃げ込み、固く守った。
馬超は軽兵数百騎を率い、諸所を暴れ回って去った。
その様子を土楼の窓から眺めていた曹操は言った。
「馬超が生きているかぎり、曹操の命は危険に晒されている」
それを聞いた夏侯淵は、曹操が止めるのもきかず、部下千騎を率いて討って出る。
案の定、夏侯淵は苦戦する状況となり、曹操自身が救援に向かう。
しかし西涼軍の強力さに、氷城へ逃げ込む。
その間に、別動隊である曹操軍の徐晃と朱霊が渭水の西から大兵を渡し、西涼軍の陣のうしろへ回って、陣地の構築を始めていた。
馬超は氷城の下まで迫り、罵っている。
そこへ、後陣の韓遂から伝令が入る。
「後方に異状が見えます」
韓遂は敵に退路を断たれたことを悟り、馬超に曹操との和睦を提案する。
数日の後、馬超の使者楊秋が曹操に和睦を申し入れる。
楊秋が帰ったあと、曹操は謀将賈詡に相談する。
あくる日、馬超へ曹操からの返簡がきた。色よい返事である。
約束の日、曹操は諸大将を引き連れ、条約を結ぶため指定の場所へ向かう。