酔計二花(すいけいにか) 赤壁の巻

内容

呉(ご)の水軍総都督である周瑜(しゅうゆ)は、鄱陽湖(はようこ)で水軍の猛練習にあたっていた。
そこへ孫権(そんけん)から、すぐに柴桑城(さいそうじょう)へ来るように、と早馬がきた。

柴桑城へ出立の準備をしていた周瑜のもとに、魯粛(ろしゅく)がたずねてきた。
魯粛は自分の考えを訴え、登城の前に諸葛亮(しょかつりょう)に会うことにした。

その日の午後。非戦派の張昭(ちょうしょう)、顧雍(こよう)、張紘(ちょうこう)、歩隲(ほしつ)は周瑜を訪ねた。周瑜は彼らの意見に同意した。

しはらくすると、主戦派の黄蓋(こうがい)、韓当(かんとう)、程普(ていふ)が周瑜を訪ねた。周瑜は彼らの意見に同意した。

夕方になると、中立派の闞沢(かんたく)、呂範(りょはん)、朱治(しゅち)、諸葛瑾(しょかつきん)が周瑜を訪ねた。周瑜は、明日君前で決める、と言った。

夜になると、呂蒙(りょもう)、甘寧(かんねい)が周瑜を訪ねた。
夜が更けても、周瑜を訪れる客はやまなかった。

魯粛と諸葛亮が来たと、取次ぎの者は周瑜に耳打ちした。
周瑜はすべての客を帰して、二人のいる部屋へ向かった。

「戦いますか」魯粛は周瑜に問うた。
「いや」周瑜は言った。
周瑜と魯粛は互いの意見を戦わせた。
「呉が戦いもせず、国土も保てる妙計があります」諸葛亮は続けた。「大喬(たいきょう)・小喬(しょうきょう)の姉妹を曹操へ贈れば、呉の難を救うことができましょう」
周瑜の髪の毛はそそり立ち、顔はこわばっていた。
諸葛亮は、大喬は孫策(そんさく)の妻、小喬は周瑜の妻であることを知ると、あわて恐れて平あやまりに詫びた。
周瑜は曹操と戦うことを決めた。

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