内容
西涼(せいりょう)の韓遂(かんすい)の幕舎へ、曹操(そうそう)から旧交をあたためようとの書面がきた。
韓遂は、旧情をうごかされ、翌日、甲(よろい)も着ずに、武者も連れずに、渭水(いすい)の曹操の陣を訪れた。
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曹操は内には招かず、陣外へ出て、韓遂と話をし、すぐに別れた。
その様子を見ていた者が馬超(ばちょう)へ知らせた。
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馬超は韓遂の陣門に腹心の男を立たせ、出入りを見張らせた。
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腹心の男は馬超に、曹操の使いが韓遂の営内へ書簡を届けた、と知らせ。
馬超はすぐに韓遂のもとへ急ぎ、曹操の書簡を取り上げて、出て行った。
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次の日。曹操の書簡を灯に透かして見ると不穏な文字が見える、と馬超は言って、韓遂を疑った。
曹操を訪ねたときに曹操を討てばよい、と韓遂は馬超に献策した。
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次の日。韓遂は曹操の氷城を訪ねた。
陣門から出てきたのは、曹操ではなく曹仁(そうじん)だった。
「昨夜は、お手紙を有難う。丞相(じょうしょう)もたいへんよろこんでおられる。しかし、事前に発覚しては一大事、馬超の眼にご注意を」曹仁は言い終わると、立ち去った。
物陰から見ていた馬超は激怒した。
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自分の衛に戻った韓遂は、五旗の侍大将に離反をすすめられた。
その夜。韓遂は楊秋(ようしゅう)を密使に立てて、曹操のもとに向かわせた。
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楊秋は曹操から一計の書かれた返書を持って、戻ってきた。
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次の日。韓遂は五旗の腹心を集めて、曹操の策を協議し、実行することにした。
油幕(ゆまく)を張り、枯柴を隠して、宴席の準備が終わった。
韓遂は前祝いに一献酌み交わしていた。
そこに馬超が突然入って来て、韓遂に斬りかかった。
韓遂は左の肘で身を防いだため、左腕はつけ根から斬り落とされた。
油幕の外は火になった。
火を合図に、曹操軍は渭水(いすい)を渡り、馬超を生け捕るために駆け込んだ。
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