吉川三国志

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火か人か(ひかひとか) 臣道の巻

内容 「なぜ酒宴に参加しなかったのか」曹操は董承(とうじょう)に問いただした。「持病のため、不本意ながら」「そなたの持病は吉平(きっぺい)に毒を盛らせたら治るものであろう」↓曹操は吉平(きっぺい)を董承(とうじょう)の前に置いた。「王子服(...
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美童(びどう) 臣道の巻

内容 董承(とうじょう)の体調は回復した。正月十五日の夜に、吉平(きっぺい)の策を聞いたからである。↓ある日の夜。董承(とうじょう)は後苑へ出て、梅樹の林を散歩していた。梅樹の林で、董承(とうじょう)の側室と召使いの慶童子(けいどうじ)が密...
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太医吉平(たいいきっぺい) 臣道の巻

内容 曹操の使者禰衡(ねいこう)が劉表(りゅうひょう)の配下に斬られ、曹操は劉表(りゅうひょう)を攻める口実を得た。曹操は意見を求めた。諸将は劉表(りゅうひょう)との戦に賛成した。荀彧(じゅんいく)は反対した。「袁紹(えんしょう)との戦も終...
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鸚鵡州(おうむしゅう) 臣道の巻

内容 禰衡(ねいこう)が江夏(こうか)へ行っている間に、袁紹(えんしょう)が劉表(りゅうひょう)に友好を求めてきた。劉表(りゅうひょう)は配下の韓嵩(かんすう)に意見を求めた。韓嵩(かんすう)は「天下を望むのなら曹操に従うべきだ」と言った。...
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雷鼓(らいこ) 臣道の巻

内容 建安(けんあん)四年八月。酒宴が開かれた。禰衡(ねいこう)は鼓を打ち、禰衡(ねいこう)の音に諸大将は聞きほれた。しかし舞曲が終わると、汚れた衣服をまとっている禰衡(ねいこう)の無礼さをしかった。禰衡(ねいこう)は真っ裸になって赤いふん...
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奇舌学人(きぜつがくじん) 臣道の巻

内容 劉岱(りゅうたい)と王忠(おうちゅう)は許都(きょと)へ戻ると、すぐに曹操に会って言った。「劉備はなんの野心もありません。丞相(じょうしょう)に服従しております」曹操は激怒し、極刑を命じた。そばにいた孔融(こうゆう)が諫めたため、極刑...
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不戦不和(ふせんふわ) 臣道の巻

内容 劉岱(りゅうたい)は張飛が攻めてきたと知り、砦の門を固く閉じた。↓張飛は夜討つに策を変え、昼のうちから兵に酒を振る舞い、自身もしたたかに飲んだ。しばらくすると、何が気に入らなかったのか、張飛はひとりの兵をさんざんに殴ったあげく、大木の...
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鬮(くじ) 臣道の巻

内容 許都(きょと)に帰った曹操は、徐州(じょしゅう)の戦況を尋ねた。「まだ一回の攻撃もしておりません」曹操は呆れ返った。すぐに軍使を送り、徐州を攻めるよう命じた。↓徐州(じょしゅう)攻めの陣営では、劉岱(りゅうたい)と王忠(おうちゅう)が...
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丞相旗(じょうしょうき) 臣道の巻

内容 袁紹(えんしょう)軍が黎陽(れいよう)まで進出してきたという知らせが許都(きょと)に入る。↓その日。曹操は諸将を集め、意見を求めた。「袁紹(えんしょう)を打ち破るべき」荀彧(じゅんいく)は言った。「否」孔融(こうゆう)は言った。「袁紹...
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一書十万兵(いっしょじゅうまんぺい) 臣道の巻

内容 劉備は徐州(じょしゅう)の城へ入ったが、曹操は必ず攻めてくるだろうと恐れずにはいられなかった。↓劉備の様子をみた陳登(ちんとう)は、劉備を連れて鄭玄(ていげん)の門を叩いた。劉備は鄭玄(ていげん)に自身の志を述べると、鄭玄(ていげん)...
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霧風(むふう) 臣道の巻

内容 ある日。陳登(ちんとう)は車冑(しゃちゅう)に呼ばれて、徐州(じょしゅう)城に着くと、「丞相(じょうしょう)から劉備の命を奪うべしとの密書が届いたのだが」と来るのを待っていた車冑(しゃちゅう)は言い、策を求めた。車冑(しゃちゅう)は陳...
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偽帝の末路(ぎていのまつろ) 臣道の巻

内容 西涼(せいりょう)太守(たいしゅ)の馬騰(ばとう)は義文の書に署名をしていたが、劉備が許都(きょと)を出たため、西涼(せいりょう)に帰ってしまった。↓建安(けんあん)四年六月。劉備は徐州(じょしゅう)に着いた。↓袁術(えんじゅつ)は淮...
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兇門脱出(きょうもんだっしゅつ) 臣道の巻

内容 劉備は先日の青梅のお礼にと、相府へ向かう準備をしていた。関羽と張飛は反対したが、「行かなければ、また疑われる」劉備は言った。↓曹操と劉備が卓を囲んでいると、河北(かほく)の情報を集めて満寵(まんちょう)が帰って来たため、曹操はここへ来...
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雷怯子(らいきょうし) 臣道の巻

内容 曹操と劉備は梅林をぶらぶらと歩いている。↓曹操はふたたび「天下の英雄は誰か」と劉備に問う。「思いつきません」と劉備は返すと、「民が噂する者でもよい」と曹操は言う。劉備は「淮南(わいなん)の袁術(えんじゅつ)、河北(かほく)の袁紹(えん...
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青梅、酒ヲ煮テ、英雄ヲ論ズ(せいばい、さけをにて、えいゆうをろんず) 臣道の巻

内容 張飛は不満だった。近頃の劉備は畑に出て、百姓のまねごとばかりをしているからだ。そこで関羽とともに、劉備に意見しに行くことになる。↓関羽と張飛は劉備に問うが、劉備は「今にわかる。心配するな」と言う。↓数日後。関羽と張飛は外出から戻ると、...
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鶏鳴(けいめい) 臣道の巻

内容 真夜中に、董承(とうじょう)は詔詞(みことのり)をふところに入れ、頭巾をかぶり、劉備の客館へ出向く。劉備は詔詞(みことのり)を見て、涙を流し、義文の書に署名をする。小閣の外では、密談を漏れ聞いていた関羽と張飛が抱き合って、うれし泣きを...
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油情燈心(ゆじょうとうしん) 臣道の巻

内容 董承(とうじょう)は急いで自邸へ帰り、玉帯(ぎょくたい)をあらためるが、なにもなかった。↓四、五日のあと。董承(とうじょう)が居眠りをしているときに、玉帯(ぎょくたい)のうえに、あかりの火種がおちて焦がしてしまい、親指くらいの穴があく...
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秘勅を縫う(ひちょくをぬう) 臣道の巻

内容 伏(ふく)皇后の父伏完(ふくかん)が帝に「曹操を除くことができるのは董承(とうじょう)しかいない」という。↓帝は自分の指を食いやぶり、血を墨のかわりにして詔詞(みことのり)を書かれ、伏(ふく)皇后は玉帯(ぎょくたい)の中に詔詞(みこと...
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許田の猟(きょでんのかり) 臣道の巻

内容 曹操軍は許都(きょと)へ帰るため、下邳(かひ)城を出発し、徐州(じょしゅう)を通る。曹操の馬前で、老民はひざまずき「劉備様を太守としてここにおとどめ願います」と懇願する。↓数日後。曹操軍は許都(きょと)に戻る。↓次の日。曹操は劉備を誘...
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白門楼始末(はくもんろうしまつ) 臣道の巻

内容 夜明けごろ。曹操は侍者から「呂布(りょふ)配下の侯成(こうせい)と名乗る者が降伏を申し出ている」と聞く。侯成(こうせい)は曹操に赤兎馬(せきとば)を贈り「城中にいる同僚も曹操殿に協力する手筈」だという。曹操は十数万の兵で下邳城(かひじ...