あらすじ
一
二十余艘の兵船は、綱から綱をつなぎあい、北方へ向かった。
その日の夜は靄につつまれていた。
夜も四更に近い頃、張遼と徐晃は曹操に「呉軍の夜襲です」と知らせた。
曹操は三千人の弩弓隊に命じ、一斉に射させた。
二
夜が明けてきた頃、江上に呉の船団は消えていた。
船体が見えないほど、無数に矢が立っている二十余艘の船は、呉の北岸に帰り着いた。矢を数えてみると十数万という数であった。
三
周瑜は魯粛からの報告を黙って聞いていた。そして「ひたすら孔明の智を憎み、孔明を害さんとばかり考えていたが、彼の神機明察、とうていわれらの及ぶところではない」と、深く自身を恥じた。
周瑜は、魯粛を諸葛亮のもとへ走らせ、迎えにやった。
周瑜は諸葛亮に「正直にいう。それがしは遂にあなたの前に兜をを脱ぎました。どうか今日までの非礼はおゆるしください」と詫びた。
[ここで周瑜は、諸葛亮に対して心を改めたはずだが……]
周瑜と諸葛亮は酒宴に移り、胸の内にある一計をそれぞれ手のひらに書いて見せることにした。ふたりは手のひらを開くと、「火」の一字がお互いに書いてあった。